北朝鮮の“女帝”金与正へ権力禅譲! 兄・正恩から着々と…

北朝鮮の支配政党である朝鮮労働党は、来年1月に「第8回党大会」の開催を予定している。党大会の開催は5年ぶりだ。北朝鮮には野党が存在しないため、党大会や朝鮮労働党による他の会議での決定事項は、北朝鮮の国会にあたる最高人民会議よりも重要な意味を持つ。

「北朝鮮は核開発に対する国連安保理(国連安全保障理事会)の経済制裁やコロナ禍、そして、台風の相次ぐ襲来で、2016年の第7回党大会で策定した『国家経済発展5カ年戦略』の数値目標を達成することが困難な状況です。実際、党も『計画された国家経済の成長目標が遅れ、人民生活が著しく向上しないという結果も招かれた』と総括しています」(韓国在住の日本人ジャーナリスト)

11月3日、韓国の情報機関「国家情報院」は、来年の党大会で金正恩朝鮮労働党委員長の朝鮮人民軍階級が、現在の「共和国元帥」から「大元帥」に、国務に関しては「元首」から「大元首」に格上げされる可能性を示唆した。中でも大元帥という称号は、祖父の金日成主席と父の金正日総書記にも授与されたもので、結果的に2人と肩を並べることになる。

「何か都合の悪い状況になると、最高権力者に大げさな称号を付与し、失政をごまかすのは北朝鮮ではよくあることです」(北朝鮮ウオッチャー)

党の序列をはるかに超えている“妹”金与正

来年の党大会では、妹の金与正氏も職責の格上げが予想されている。

「正恩氏に比べると、与正氏の地位は依然として低い。現在の肩書は『朝鮮労働党中央委員会第1副部長』と『党中央委員会政治局員』ですから、党内で〝女帝〟と恐れられる実力には見合わないものです」(国際ジャーナリスト)

北朝鮮労働党の最高機関は「中央委員会政治局常務委員会」で、頂点に君臨する正恩氏を含む5人の実力者で構成されている。その下に常務委員ではない政治局員が14人おり、さらに下には10人程度の政治局員候補が控えている。

与正氏が「政治局員」なら、党内での序列は20位以内だが、今年に入ってから彼女の果たした役割は、党の序列をはるかに超えて、金王朝の後継者とも見まがうべきものだ。

「正恩氏が視察に訪れると、現地の指導者や軍幹部などは、北にもボイスレコーダーくらいあるだろうに、全員が正恩氏の一言一句を何かに取り憑かれたようにメモしている」(同)

しかし、ただ1人だけ、正恩氏の視察に随行してもメモを取らない人物がいる。それが与正氏だ。正恩氏が登壇中に居眠りしただけで粛清される北朝鮮では、例外中の例外である。