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野生のゴリラに通じた僕の“テレパシー”~原田龍二の『不思議な世界』

原田龍二
原田龍二 (C)週刊実話Web

前回の続きです。

『世界ウルルン滞在記』(MBS/TBS系)の企画で、野生のマウンテンゴリラを探しにウガンダへ向かった僕。ゴリラが保護されている国立公園のある、標高4000メートル級のムハブラ山に登ったものの、一度目は高山病でリタイア。ゴリラに精通する長老から「お前のテレパシーが通じれば、ゴリラは姿を見せてくれる」と言われ、翌日再トライすることになりました。

登山の道すがら、落ちているゴリラの糞を幾度となく見つけます。そのたびにパークレンジャーが調べるのですが、進んでいくと糞が新鮮なものになってきました。ゴリラはきれい好きなので、毎晩寝床を変えるそうです。草を倒してベッドを作るのですが、道中で見つけたベッドもだんだん新しいものになっています。

「ゴリラに近づいている」と手応えを感じていたところ、突然周囲に虫が増えました。ゴリラの獣臭は強いので、虫が寄ってくるのだとか。パークレンジャーが「虫が増えたということは、ゴリラが近くにいる」と教えてくれます。

歩みを進めると、パークレンジャーがふと止まり、茂みを指しました。その向こうから聞こえてきたのです、ドラミングの音が。しかも子ゴリラなのでしょうか、ポコポコポコという可愛い音。多分、家族の群れがいる。気分は高揚しっぱなしです。檻の中じゃないゴリラと対面するなんて、日本では考えられないことですから。

僕を引っ張ったのは小さな子どもゴリラ!

本来、ゴリラはとてもクレバーな生き物です。アメリカの動物園で、檻の中に落ちてきた人間の子どもを助けたなんて逸話もあるほど。そんな動物を、これほど間近で見られる機会はそうそうない。興奮のあまり、僕はドラミングの音がする茂みへ直進し、ついキャメラマンを追い越してしまいました。前へ出すぎてしまったのか、後ろから引っ張られます。「あ、ごめんね」と振り向いたら、僕を引っ張ったのはキャメラマンではなく、なんと小さな子どもゴリラでした。

ゴリラは保護されているので、人間のほうから半径数メートル以内に近づいてはいけないらしく、そばで滞在できる時間も制限があります。なので、こちらから触ることはできません。僕を引っ張った子ゴリラは、スーッと家族の群れのほうへ戻っていきました。

息をのんで群れを眺めていると、親らしきゴリラの背後に隠れていた子ゴリラは、ちらっと顔を出して僕のほうを見ています。コンタクトを取ろうとしているのかなと感じた僕は、自分の身体を揺すってみました。すると子ゴリラも同じジェスチャーをします。他にもちょっと動いてみると、向こうも同じ動きをする。コミュニケーションが取れている――そう確信できたのです。

下山中、長老に言われたテレパシーという言葉を僕は思い出していました。会いたいという気持ちがゴリラに伝わったんだな、そう実感できたロケでした。

原田龍二
1970年生まれ。ドラマやバラエティーで活躍する一方、芸能界きってのミステリー好きとして知られ、近著に『ミステリーチェイサー原田龍二の謎のいきものUMA大図鑑』がある。現在、『バラいろダンディ』(MX)で金曜MCを担当。YouTubeチャンネル『ニンゲンTV』を配信中。

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