原田龍二 (C)週刊実話Web
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野生のゴリラと仲良くなるコツとは?~原田龍二の『不思議な世界』

1998年に『世界ウルルン滞在記』(MBS/TBS系)の企画で、野生のマウンテンゴリラを探しにウガンダへ行くことになりました。


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と言っても、もちろんそう簡単にはいくものではないので、まずはゴリラの生態を観察している人に会うとのこと。ウガンダでは、ゴリラは国立公園内に保護されています。広い国立公園が、彼らの生息地。そこでゴリラを観察しつつ、保護しているパークレンジャーに会うことが第一歩だと言われました。『愛は霧のかなたに』(ゴリラと動物学者の心の交流を描いた映画)の撮影で、ゴリラに関することを主演のシガニー・ウィーバーに手ほどきした老人の家に、アフリカ人のパークレンジャーが2人居候しているとか。僕も御年90歳の、その長老のお宅に泊まることとなりました。


長老から、ゴリラと仲良くなるコツを聞いた僕。翌日は標高4000メートル級のムハブラ山に登り、その山にある国立公園のジャングルでゴリラを探すロケに出ます。体力的にかなり厳しく、僕はファーストトライで高山病になってしまいました。でもパークレンジャーの2人は、笑顔でいなします。「高山病ならしょうがない、下山しよう」と。


当日の朝は寒かったので、ポンチョを着ていました。でも太陽が昇るにつれて気温が上昇し、登山で動き続けていることもあって暑くなり、ポンチョを脱いで、そのまま登っていたら途中でふと気づくのです、自分がポンチョを引きずっていることに。「これはダメだ」と肩にかけても、気づけばまた引きずっている。

気持ちはテレパシーで伝わっているはず

僕と同い年のキャメラマンは、いつの間にかろれつが回らなくなっていました。いよいよヤバい、と座り込んでしまう我々。もうろうとしながらも、「休みすぎた」と前に歩を進めようとします。ところが体は起きてくれません。気持ちだけは前進しようと強く考えているので、上半身のみで身体を引きずりながら登ろうとしているんです。

もうダメだと、泣く泣く下山。半べそをかきながら「高山病になってしまい、ゴリラに会えませんでした」と伝えたら、長老はニコニコしています。「なんで笑っているんだ?」と一瞬、疑問に思いましたが、「今日は肉体的に、山に慣れていなかっただけだ。お前が本当にゴリラに会いたいのなら、きっと会えるよ」と笑顔で言うのです。


その日はくたびれていたので、早々に就寝しました。翌朝、出発の段取りを整えます。「今日は会えるぞ」という予感もあって、前日と違い気分は前向きです。出発すると長老に伝えたところ、「お前の会いたい気持ちは、テレパシーでゴリラに伝わっているはずだ。何度トライしても、会えなかった人もいる。それはテレパシーが通じるかどうかなのだ」と言う。不思議な言葉をくれるものだと思いながらも、僕は再び山を目指しました――。(つづく)
原田龍二 1970年生まれ。ドラマやバラエティーで活躍する一方、芸能界きってのミステリー好きとして知られ、近著に『ミステリーチェイサー原田龍二の謎のいきものUMA大図鑑』がある。現在、『バラいろダンディ』(MX)で金曜MCを担当。YouTubeチャンネル『ニンゲンTV』を配信中。