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「空飛ぶクルマ」に世界が注目! 3年後に実用化!? ~企業経済深層レポート

空飛ぶクルマは将来的な市場規模も大きい
空飛ぶクルマは将来的な市場規模も大きい Costazzurra / Shutterstock

かつてはSFの世界に出てくる乗り物と考えられていた〝空飛ぶクルマ〟が、今年に入り、にわかに現実味を帯びてきた。日本政策投資銀行、伊藤忠商事、日本電気(NEC)などが出資する東京の「SkyDrive(スカイドライブ)」が、有人飛行試験に成功し、2023年にも実用化の運びとなったためだ。

経済誌記者が一連の経緯をこう解説する。

「スカイドライブは自動車、飛行機、ドローンなどの技術者集団が、2018年7月に創業したベンチャー企業。3年前から空飛ぶクルマの試作を始め、今年8月、実用化の光が見えたことで実験の一部を公開したのです」

当日に公開された有人試験機は「SD-03」と命名された同社で3番目となるモデル。ただし、まだ〝クルマ〟の部分は装備されておらず、現段階では空を飛ぶことに特化している。

「F1ドライバーのようなヘルメットと耐火スーツ姿のパイロットが乗り込むと、無数のプロペラが回転し、垂直にふわりと浮上。時速4キロの速さで約4分間、高度2メートルの空中を舞って無事着陸しました」(同)

このSD-03は、ボディーの四方に二重反転式の3枚プロペラを合計8基も搭載し、安全性確保のため8個のモーター、8個のバッテリーで駆動するシステム。万が一、飛行中に異常が発生しても、即時墜落しないよう配慮されている。

世界の企業が目の色を変える空飛ぶクルマ事業

スカイドライブは2026年までに、東京や大阪の湾岸エリアで、主に観光用の飛行サービスを開始する予定だ。さらに、エンターテインメントやエアタクシー、救命救急などの分野で活躍を想定しているという。

今から数年後の実用化を目指す方針とは驚きだが、ここで改めて空飛ぶクルマとはどういうものか整理してみよう。

「オール電動化、自動操縦、垂直離着陸が、空飛ぶクルマの基本イメージです。特に注目されるのは垂直運転で、国土が狭い日本では駐車場2台分のスペースから飛び立てることが基本。スカイドライブも全長4メートル、全幅4メートル、全高2メートルの、世界最小モデルの開発に挑んでいる」(自動車メーカー関係者)

空飛ぶクルマは将来的な市場規模も大きく、米大手金融機関のモルガン・スタンレーは、20年後には世界で約170兆円と試算する。そのため、世界の企業は目の色を変え、空飛ぶクルマ事業へと新規参入している。

例えば、トヨタ自動車は今年1月、米ベンチャー企業「ジョビー・アビエーション」との提携を発表し、日本円で約430億円の出資を明らかにした。