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知られざるヤクザのお中元③クーラーボックスいっぱいの密猟品

イラスト/タカミトモトシ (C)週刊実話 無断転載禁止
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見栄を張るのがヤクザの世界。中元や歳暮といった盆暮の挨拶にかける額も桁違いだ。しかも、値が張るこだわりの逸品を、全国の親戚・友好団体に配るというのだから、組員たちの負担もハンパない。悲喜こもごものヤクザのお中元の品々をご覧あれ。

【海産物】 一般社会でも定番のズワイガニ、タラバガニはもちろん、アワビやハマグリといった海産物は、ヤクザ業界のお中元としても珍しくない。

だが、これを贈られてきた組は思わず苦笑するという。

「クーラーボックスいっぱいのハマグリが贈られてきたんですが、大きさも全然そろってないですし、まぁ密漁でしょうね。このシノギ自体は昔からヤクザの定番だったといえ、さすがにこれをお中元とするのは禁じ手じゃないかと(笑)。ところが、近年はだんだん増えてきて、まさに業界事情を象徴しているというか…」(関東・40代)

とはいえ、若手ヤクザの間では、サマーシーズンにBBQを開くのが恒例となっており、「贈ってもらう分にはとってもうれしい」そうだ。

梅干しの詰まった「壼」が主役

【陶芸品】 若かりし頃にぜいたくを極めたからか、ヤクザ業界の親分衆には、意外にも和食中心の質素な食事を心がける方が珍しくない。

そうした親分には、肉や酒よりも、味噌や醤油を贈るほうがかえって親切であり、組によっては全国からそうした品々が数十キロ単位で届くことになる。

「高級な漬け物やら海苔に混じって、壺いっぱいの梅干しが贈られてきたことがある。一目では分からなかったが、実はこの〝壺〟のほうがメイン。某有名親分が自ら作った陶芸品だったんだ。うちの物には『乾坤一擲』と書かれていたのだが、その親分は贈る相手に合わせて言葉を選んだそうなんだ。こういうものは金には換えられないから、価値が違うよね」(関東・50代)

聞けば、ヤクザ業界の親分衆には、こうした陶芸の他にも、絵画や書といった分野で類いまれなる才能を見せる方が数多いという。

塀の中の刑務作業や手紙のやりとりで、手先の器用さや表現力が磨かれるのはもちろん、「波瀾万丈の人生が作品に投影されるのが、その理由」と言われている。

【ヤクザのお中元④に続く(#④を読む)】

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