清水由貴子『お元気ですか』とピンク・レディーの明暗 阿久悠が語ったデビューの舞台裏【スージー鈴木の週刊歌謡実話第51回】

阿久悠が語った二組の明暗

しかし、同番組のプロデューサー的存在だった阿久悠は、自著『夢を食った男たち』(毎日新聞社)で、こう語っています。

――それに、申し訳ないが、ぼくらにも、売りにくいピンク・レディーは必死に知恵を働かせたが、魅力の確立している清水由貴子には、魅力の中でものを考えるというところがあったことは否めない。緊張は、はるかにピンク・レディーの作品づくりにあった。

結果、考えに考え抜いたピンク・レディーは爆発的なブームとなり、その後、満を持してデビューした清水由貴子の『お元気ですか』は、たった8万枚の売り上げにとどまったのです。

事実、阿久悠自身も先の自著で、ピンク・レディーの猛威に吹き飛ばされる前に世に出ていたら、『お元気ですか』はもっと売れたはずと、語っています。

そんな清水由貴子の最期は、凄絶なものでした。ちょっとここにも書きにくいぐらい。ただ、それも知りながら『お元気ですか』を聴くと、楽曲の深みがグッと増して響いてくるのです。それはもう、途方もなく哀しいほどに。

「週刊実話」11月12日号より

スージー鈴木/音楽評論家

1966(昭和41)年、大阪府東大阪市出身。『9の音粋』(BAYFM)月曜パーソナリティーを務めるほか、『桑田佳祐論』(新潮新書)、『大人のブルーハーツ』(廣済堂出版)、『沢田研二の音楽を聴く1980―1985』(講談社)など著書多数。