森田剛の“枯れた演技”に驚いた――42歳の漫画家アシスタントを描く『見上げてごらん』【やくみつるのシネマ小言主義 第306回】

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【やくみつるのシネマ 小言主義 第306回】『見上げてごらん』
長年にわたり、大物漫画家のアシスタントを務めてきた42歳の土屋輝一は、漫画家デビューした後輩や、別居中の人気声優の妻の活躍に羨望と焦りを抱く。一緒に暮らす高校受験を控えた娘とすれ違いを繰り返しながらも、人生を模索する土屋のもとに、ある漫画の企画が舞い込む。仕事への熱量不足を自覚する29歳の中堅編集者・潮田ユキと、漫画家を志す猪突猛進な40歳の新人アシスタント・山田ぽてととともに、漫画制作に踏み出す土屋だったが…。

同じ漫画家でも「同業者という感覚はない」

漫画家として独り立ちする夢を持ちながら、気付けば20年近くアシスタントをしている42歳の男の話。

皆さんはどう感じているか分からないのですが、漫画家にもいろいろありまして。いわゆる、この映画で描かれているような漫画家は、自分にとって同業者という感覚はないんです。

一般的なストーリー漫画は、いわば映画のようなもの。漫画家のアシスタントは、映画作りで言うと助監督やADでしょうか。自分のような時事漫画家の同業者は誰かと考えてみると、『爆笑問題』とか『ナイツ』など、時事漫才の人たち。そして、泉麻人氏などのコラムニストが近しい。“本作の主人公は異業種なんだけどなぁ”と思いながらも、やはり随所に共通点があることはあって、結構楽しめたんですよね。

しかし、なぜ監督はこの職業に光を当てたんだろう。

「何者かになる」という夢なり漫画の構想なりは持っているものの、やっぱり飯を食うためにプロのアシスタントとして絵を描くことに専念するというのは実際あります。後輩の方が先にデビューしたり、新しいアシスタントが入ってきたり、娘や元妻との関係など、群像劇的な面白さを醸し出すことに成功していますね。

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