天皇賞・秋「伝説の10頭」前編 女帝エアグルーヴ、世紀末覇王オペラオーら平成の名勝負5選

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東京競馬場、芝2000メートル。スタート直後に待ち受ける魔の2コーナーポケット、長い直線、そして立ちはだかる急坂――。数あるGⅠの中でも「最も強い馬が勝つ」と称されるのが、伝統の「天皇賞・秋」だ。

昭和から令和へ、その歴史は競馬ファンの魂を揺さぶる名勝負の連続だった。あの秋の日、我々が馬券を握りしめ、叫び、そして涙した伝説の10頭――栄光の裏にあった陣営の執念、天才たちの手綱捌き、そして今なお語り継がれる奇跡のドラマを、一挙に振り返る!

①ヤマニンゼファー(1993年)
マイルもスプリントも2000も!「風の韋駄天」が演じた不滅の3階級制覇

「1200も1600も勝った、次は2000だ」――そんな常識外れの挑戦を見事に結実させたのが、1993年のヤマニンゼファーだ。

前年の安田記念、同年のスプリンターズSを制し、すでに短距離路線の絶対王者として君臨していたゼファー。しかし、陣営が選んだのは距離延長となる秋の盾(天皇賞・秋の通称)だった。血統面から「距離が長い」と囁かれ、単勝は5番人気に甘んじた。

ゼファーは名手・柴田善臣を背に、レースは絶好の好位3番手を追走。東京の長い直線、距離の壁を指摘する下馬評をあざ笑うかのように、抜群の手応えで抜け出した。猛然と追いすがるセキテイリュウオーとの壮絶な叩き合いをハナ差で制し、見事に優勝。

安田記念、スプリンターズS、そして天皇賞・秋。現代のJRA路線では考えられない「3階級制覇」を成し遂げた快速王のスタミナと根性は、オールドファンの胸に刻まれている。

②バブルガムフェロー(1996年)
13年ぶりの歴史的快挙! 天才・藤沢和雄が送り出した3歳王者の衝撃

バブルガムフェロー

「3歳(旧4歳)馬に秋の盾は勝てない」――そんな競馬界の定説を、圧倒的なスピードと若さで打ち破ったのが1996年のバブルガムフェローだ。

当時は天皇賞の出走条件が緩和されて間もない時代。並み居る古馬の強豪たちに、天才・藤沢和雄調教師はあえてこの若き大器をぶつけた。鞍上には、若き日の天才・蛯名正義。
レースは中団でじっと息を潜め、東京の長い直線にすべてを懸けた。

マヤノトップガンやサクラローレルといった最強古馬たちが追い上げてくる中、バブルガムフェローは内から鋭く抜け出すと、若駒らしい抜群の勝負根性を発揮して完勝。1983年のリードホーユー以来、実に13年ぶりとなる3歳馬による天皇賞・秋制覇の快挙を成し遂げた。新時代の幕開けを告げた、歴史の転換点となる名勝負である。

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