3連勝したのに日本一を逃した阪神の悪夢…日本シリーズ“伝説の死闘”【後編】

⑦「中日vsロッテ」史上最大の「下剋上」! 
 地上波放送なし、激闘の夜に潜んだ男たちの執念(2010年)

2010年の日本シリーズは、落合博満監督率いるセ・リーグ王者「中日ドラゴンズ」と、西村徳文監督率いるパ・リーグ3位から勝ち上がった「千葉ロッテマリーンズ」が激突した、21世紀屈指の「消耗戦」にして「大番狂わせ」のドラマだった。

「史上最大のシチュエーション」として始まったシリーズは、実力伯仲の凄まじい大激戦となった。象徴的だったのがナゴヤドームで行われた第6戦。3勝2敗で王手をかけていたロッテと、王者のプライドを懸けた中日の意地がぶつかり合い、日本シリーズ史上最長となる「延長15回・4時間43分」の大死闘の末、2対2の引き分けに。この夜、あまりの激戦にテレビ地上波の全国放送がないことがファンの間で大きな議論を呼んだ。

命運は翌日の第7戦へ。両チーム合計11人の投手を注ぎ込む総力戦の末、延長11回裏にロッテの岡田幸文が放った決勝三塁打により、8対7でロッテが勝利。史上初となる「リーグ3位からの日本一」という奇跡の「下剋上」を完成させた。

華やかさの裏で、落合監督の冷徹なタクトと、ロッテの泥臭い団結力が火花を散らした全7試合。互いのエネルギーをすべて吸い尽くすような、あの泥沼の死闘は、今もファンの記憶に深く刻まれている。

⑧「楽天vs巨人」奇跡の第7戦
 田中将大「160球完投負け」の翌日見せた、魂のセーブの真実(2013年)

2013年の日本シリーズは、星野仙一監督率いる初のリーグ王座に就いた「東北楽天ゴールデンイーグルス」と、原辰徳監督率いる球界の盟主「読売ジャイアンツ」が激突した、21世紀のプロ野球史で最もエモーショナルな名勝負だった。東日本大震災から2年、東北の魂を背負った楽天の戦いは、まさに執念のドラマだった。

シリーズのハイライトは、楽天が3勝2敗で王手をかけて迎えた第6戦。レギュラーシーズン24勝0敗という驚異の不敗神話を築いた大エース・田中将大が満を持して先発する。しかし、巨人の意地が勝り、田中は9回160球を投げ抜くも4対2で完投負け。巨人が逆襲し、勝負の行方は最終第7戦へともつれ込んだ。

運命の決戦、楽天リードの9回表。スタジアムに大歓声の「あとひとつ」が鳴り響く中、星野監督がマウンドに送ったのは、前夜160球を投げたはずの田中将大だった。満身創痍の右腕は、魂の咆哮とともに巨人の反撃を断ち切り、楽天に初の日本一をもたらした。

大エースのプライドと、星野仙一が貫いた熱き男の美学。データや現代の球数制限を超えたあの「1球の重み」は、今もファンの胸を熱くさせる逸話となっている。