「ボクシングをやめて拳闘をする」那須川天心が“非公式会見”で真意説明…ファンに思いは伝わったのか?

9月27日にWBC世界同級王者・井上拓真との再選するが、敗れてしまった那須川が、非公式会見を行った


プロボクシングWBC世界バンタム級3位の那須川天心(帝拳)が10月19日、都内で自らの公式YouTubeチャンネルの企画「非公式会見」に臨んだ。9月27日にトヨタアリーナ東京で行われたWBC世界同級王者・井上拓真(大橋)との再戦で判定負けを喫して以降、試合直後の発言をめぐって広がった批判について、自らの口で真意を説明した。

 ■ なぜ非公式会見を開いたのか? 試合後の発言が招いた波紋


事態の発端は、試合直後の公式会見での発言だった。

7ラウンドにダウンを奪いながらも、0-3の判定で敗れた那須川は、「ボクシングで負けた」「自分の中では負けた気がしていない」とコメント。さらに、セコンド陣営も採点への疑問を口にしたことで、ネット上では「負けを認めていない」「王者・井上拓真へのリスペクトがない」といった批判が広がった。

批判の矛先は那須川本人だけでなく、葛西トレーナーや浜田代表の発言にも向けられた。「最初の4Rの採点は驚いた」「マストシステムは難しい」といった採点への疑問も、「言い訳がましい」と受け止められる一因となっていた。

7ラウンドにダウンを奪った場面はあったものの、試合は判定で決着し、那須川は敗れた。本人や陣営が伝えたかった意図とは別に、試合後の発言全体が、判定負けを受け入れていないかのような印象につながった。

今回の「非公式会見」は、こうした発言の真意を自ら説明する場となった。

■「ポイントを取られて負けたことは分かっていた」判定への不満とは違う?


今回の会見で那須川は、ポイントを取られ、判定で敗れたことは分かっていたと説明した。少なくとも、判定結果を理解していなかったというわけではない。

「自分の中では負けた気がしていない」という発言についても、判定で敗れた事実そのものを否定する意図ではなかった、というのが今回の説明の要点だ。

ただ、本人が何を伝えたかったかだけでなく、試合直後の発言がファンにどう伝わったかという点も見過ごせない。

ボクシングは、ダウンを奪った場面だけで勝敗が決まる競技ではない。12ラウンドを通じた攻防を採点し、最終的に判定で勝敗が決まる。試合内容に手応えを感じていたとしても、判定で敗れた事実を認めることとは矛盾しない。

一方、敗れた直後の言葉は、勝者への敬意や敗北を受け止める姿勢と結び付けて見られやすい。「負けた気がしていない」という表現が独り歩きしたことで、那須川の意図とは異なる印象が広がった可能性もある。

今回の会見で本人が説明したことと、発言を受け取った側がどう感じたかは別の問題だ。判定負けを認めているかどうかだけでなく、井上への敬意が言葉や態度から伝わっていたかという点も、批判が続く背景にある。

 ■ 7回のダウンは3年間の積み重ね それでも「倒し切るべきだった」


那須川は井上戦を振り返り、7ラウンドにダウンを奪った場面についても言及した。

ボクシングに取り組んできた3年間の積み重ねが表れた場面だったとしながらも、ダウンを奪ったのであれば、そこで倒し切るべきだったという悔しさも口にした。

キックボクシングで数々の実績を残してきた那須川にとって、ボクシングへの転向は、異なる競技で一から自分の力を証明していく挑戦でもある。井上戦では世界王者からダウンを奪ったものの、勝利につなげることはできなかった。

一度の見せ場を作ることと、試合を通じて優位に立ち、勝ち切ることは違う。7ラウンドのダウンを手応えとして受け止める一方、仕留め切れなかったことを課題として捉えている点に、今回の敗戦から得た反省が表れている。

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