浅香唯『恋のロックンロールサーカス』が示す“圧倒的な声量”と1989年のロック歌謡【スージー鈴木の週刊歌謡実話第49回】

吉川晃司にも通じる音楽性

NOBODY作品の象徴となるシンガーといえば、男性なら吉川晃司ですが、女性ならやはりアン・ルイスか浅香唯でしょう。ちなみに傑作『セシル』も、もちろんNOBODY作品。

歌い出しのメロディが実に過激。「♪C・I・R・C・U・S」の音程が全部同じ。ここもちょっとお経みたい。攻めてるわぁ。

編曲は井上鑑。情緒的で洗練されたアレンジのイメージがありますが、ここでの演奏は「ザ・ロック」。バンドブーム華やかなりし時代に合わせたはずです。

が、やはりこの曲は声なのですよ、浅香唯の。

サブスクにも入っていますので、まずは一度聴いてみてください。もう本当に、笑えるぐらいに声が出まくってる。ピッチピチというか野太いというか。

やっぱロックボーカルは声量なのですよ。さらにいえば声圧――そんな言葉を使いたくなるほど、この時期の浅香唯のパワーボーカルは出色なのでした。

AXIAカセットテープのCMソングでした。コピーは当時っぽく「CD録るならAXIA」。

CMラストで浅香唯本人が一言――「元気がありあまってる」。

ケガに負けず、年齢にも負けずに復活して、ありあまるほどの元気で、また爆発的な声量をとどろかせてほしいものです。

「週刊実話」10月22日号より

スージー鈴木/音楽評論家

1966(昭和41)年、大阪府東大阪市出身。『9の音粋』(BAYFM)月曜パーソナリティーを務めるほか、『桑田佳祐論』(新潮新書)、『大人のブルーハーツ』(廣済堂出版)、『沢田研二の音楽を聴く1980―1985』(講談社)など著書多数。