浅香唯『恋のロックンロールサーカス』が示す“圧倒的な声量”と1989年のロック歌謡【スージー鈴木の週刊歌謡実話第49回】

浅香唯『恋のロックンロールサーカス』

【スージー鈴木の週刊歌謡実話第49回】
浅香唯
『恋のロックンロールサーカス』
作詞:売野雅勇
作曲:NOBODY/編曲:井上鑑
1989年7月5日発売

ピッチピチ時代の名曲を再訪

「前下脛腓靱帯損傷、後下脛腓靱帯損傷」

一見、お経のような文字列ですが、よく読むと「損傷」という言葉が入っていて、要するにケガの診断名ということが分かります。

診断されたのは――浅香唯。彼女のインスタグラムによれば、9月19日のビルボード横浜公演で、階段を降りる時に足をひねったとのこと。

「靱帯」の読みは「じんたい」。私は草野球の試合で靱帯を「断裂」するという大けがをした経験がありますが、「損傷」も甘く見てはいけません。あのピッチピチだった浅香唯も、今や56歳とのこと。ご自愛していただきたいものです。

というわけで、ケガからの復活を勝手に祈願して、ここではピッチピチ時代の浅香唯の歌を懐古することにしましょう。

浅香唯といえば、傑作中の傑作『セシル』(1988年)をかつて取り上げました。そのときも書いたのですが、彼女のボーカルの魅力は、何といっても声なのです。ですが、その話はラストまで取っておいて、まずは声以外の要素を見ていきましょう。

作詞は売野雅勇。まずタイトルがいい。そもそも「ロックンロールサーカス」って何だよ?

この言葉、ロックファンなら、ローリング・ストーンズやジョン・レノンが出演し、ザ・フーが圧倒的なパフォーマンスを見せたイギリスの映像作品(’68年)を想起しますが、ここでは、まぁ無関係でしょう。でも何だか、楽しくなってくるフレーズです。

作曲はNOBODY。矢沢永吉のバックバンド出身の2人組で、80年代に「ロック歌謡」の傑作を多数残したチームです。

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