「人生をかけてハマれるものにハマったほうが幸せ」キノコライター・堀博美が語る“終わらない探求”【死ぬ前にやっておくべきこと】


キノコライターの堀博美(C)週刊実話Web
村瀬秀信氏による人気連載「死ぬ前にやっておくべきこと」。キノコライターの堀博美をインタビュー(後編)。キノコに対する熱い思いをたっぷり語っていただいた。

本と菌類が生み出す奇妙な世界

古い文庫本のページの隙間から、白いキノコがニョキッと顔を出している。

活字の森に菌糸が這い、物語を苗床にしてヒラタケの傘が幾重にも重なり合う。

この本はもう読めない。だがその一冊は、この世に二つとないものになった。

現代美術家・福本浩子の代表作『Mycobook』。キノコライター堀博美の、もう一つの顔である。

「もともと本というものにすごく関心があって『本ってそもそも何なんやろ』というのをアートの形でやったら見えてくるんちゃうかと、本で壁を作ったり、全文字を線香で焼いてみたり、いろんなことしたんです。ネットの時代になって、今本は元気がないけれど、見捨てられるメディアではない。そう考えたときに、“本とキノコ”がパッと結びついた。本にキノコを生やせば、本が命を育む在り方になる。大量に刷られた普通の本が、一点物に変わる。その面白さを感じました」

本に関心のあった福本と、キノコライター堀。堀はキノコで本を書き、福本は読まれなくなった本にキノコで別の命を吹き込む。一人の人間の中で起きた、世にも奇妙なコラボレーションとなったこの作品を作るべく、栽培法を調べ上げ、古紙でキノコを育てる取り組みをリサーチしながら、どんな環境でどのキノコが生えやすいのか、知識と技術を身につけていった。

「ヒラタケが一番簡単やと言われてますけど、それも時期が合わないとうまく育たない。うちでやるときは20㍑の圧力鍋で殺菌する工程が絶対に要るので、新書ぐらいの大きさまでしか入らないんです。実際にキノコが生えるまでに1カ月ぐらいかかります」

去年はアメリカの美術館に招かれた。日本の本をテーマにした展示と並行して、本からキノコを生やすワークショップをやる。作品を海の向こうへ運ぶわけにはいかないから、作者ごと呼んで現地で生やしてもらおうというわけだ。

本は日本から持ち込んだものと現地のものが半々。生え方を分けたのは、紙質よりも置き場所の条件だった。

1カ月の滞在中、キノコが生えるまでの時期を見計らってメキシコへ飛んだ。オカルト雑誌『ムー』の読者ツアー。数十万円で編集長と一緒にUFOがよく来る山を拝めるというそのツアーに参加した。

「UFOもまあ好きですけど、目的はマヤ文明の資料です。その中にキノコ石があったんです。キノコの形をした石に動物や人の顔が彫ってあるもので、昔はたくさん作られていたらしいので、メキシコやったらなんぼでもあるやろと、のんきに考えて行ったら、結局一つも見られませんでした。グアテマラが本場らしいんですけどね」

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