「日本の科学力はスゴい」は本当か? ノーベル賞受賞者が警鐘を鳴らす“評価の落とし穴”

ノーベル賞ラッシュは今だけ?

10月7日、ノーベル化学賞に東京理科大学名誉教授の硤合憲三氏(76)が選ばれたことが発表され、日本では祝賀の声が続いている。フランスのアンリ・カガン氏との共同受賞で、日本人の化学賞受賞は2年連続である。喜ばしいニュースであることは言うまでもない。ただ、この機会にぜひ確認しておきたい数字がある。

文部科学省科学技術・学術政策研究所の「科学技術指標2026」によれば、日本の研究開発費は22.1兆円、研究者数は70.3万人で、いずれも米国、中国に次ぐ世界3位。論文数も年平均6万6214本で世界5位を保っている。ところが、他の研究者から多く引用される「注目論文」となると、順位は一気に下がるのだ。

「規模は世界3位」なのに注目論文は13位

注目論文の指標となるのは「トップ10%補正論文数」で、被引用数が各分野で上位10%に入る論文を数えたものである。日本は3163本で世界13位。特に注目度の高い上位1%の論文でも271本で、世界12位にとどまる。

もちろん、これは日本の科学力の総合順位ではない。それでも、2000年代初めには4位だった日本が、2019年に12位となって以降、トップ10に入れない状態が続いているという事実は重い。

注目論文は中国が日本の「約27倍」

首位の中国は8万4392本で、日本の約27倍に上る計算だ。2位の米国が2万9911本、3位の英国が7696本であることを考えても、その差は際立っている。

興味深いのは分野ごとの顔ぶれである。注目論文の分野別バランスを見ると、日本は物理学と臨床医学の占める割合が他の分野より高い。一方、中国は材料科学、化学、工学の割合が相対的に高いとされる。化学賞の栄誉に沸く日本だが、研究分野ごとの勢力図を見ると、世界の科学研究をめぐる構図も変化している。

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