硤合憲三氏で日本人31人目! ノーベル賞ラッシュの裏にあった「20〜30年前の研究」という現実

アルフレッド・ノーベル

2026年10月7日、スウェーデン王立科学アカデミーは、今年のノーベル化学賞を東京理科大学の硤合憲三(そあい・けんそう)名誉教授(76)と、フランスのアンリ・カガン氏に授与すると発表した。

日本人のノーベル賞受賞者は、米国籍を取得した人を含めて31人目。化学賞に限れば2年連続、10人目となる。受賞の知らせを受けた硤合氏は、電話口で「人生で最も興奮する日」と喜びを語ったと伝えられている。

2000年以降で「23人」という急増ぶり

ただ、日本中が祝福ムードに包まれるなか、素朴な疑問も湧いてくる。人口が突出して多いわけでもない日本から、なぜこれほど受賞者が続くのだろうか。

31人のうち、20世紀の受賞者は8人。残る23人、つまり4分の3が2000年以降に集中している(本誌集計)。対して2025年時点で、中国人の自然科学系の受賞者は2015年の屠呦呦(トゥ・ヨウヨウ)氏ただ1人。隣国と比べても、日本の突出ぶりは際立っているのだ。

ノーベル賞は「遅れて届く成績表」

しかし、浮かれてばかりもいられない。見落とされがちだが、ノーベル賞には研究成果が生まれてから評価されるまでに、大きな「時間差」があるからだ。

今回の硤合氏がまさにそうだった。硤合氏は1995年に独自の「硤合反応」を発表。そこから2026年の受賞まで、実に31年が過ぎている。

アミノ酸や糖に存在する、右手と左手のような関係の「鏡像異性体」のうち、ごくわずかな偏りが自己触媒の働きで急速に増幅する現象で、自然界ではなぜ片方だけが選ばれているのかという謎にも迫る成果だ。医薬品や香料、甘味料などの開発への応用が期待されている。

昨年の坂口志文氏、北川進氏の受賞も、長年にわたる研究の積み重ねが評価されたものだった。                                                                                                                                                   

つまり、いま日本人が受け取っている賞状は「いまの日本」への評価ではない。何十年も前に蒔かれた種に対する、遅れて届いた成績表なのである。

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