武豊――名馬に愛され、名馬を愛した競馬界最後の"男前"すぎる流儀【スポーツ界"男気列伝"】

キタサンブラックが証明した"終わらない男"

「また、2010年代になると武豊は落馬による大ケガもあり、『時代は終わった』とまで言われたこともありました。ところが2016年に運命的な出会いを引き当てる。それが演歌歌手・北島三郎さんの愛馬でもあるキタサンブラックで、武はこの名馬ともに再び競馬界の頂点へ駆け上がったのです」(別の競馬担当記者)

天皇賞、ジャパンカップ、有馬記念、ベテランと名馬が築いたドラマは、多くの競馬ファンを熱狂させた。

武は勝利後も決して自慢しない。「馬が本当に頑張ってくれた」――そこにあるのは、常にいつもの言葉だった。

競馬界の誰からも愛される理由

「武豊ほど後輩に慕われた騎手も珍しい。勝っても威張らない、負けても他人のせいにしない、若手騎手には気軽に声を掛け、調教師や厩務員にも自然に頭を下げる。競馬は一人では勝てない、それを誰より理解しているからこそ、武豊は常に周囲への敬意を忘れなかったのでしょう」

前出の競馬担当記者はこう語るが、だからこそ30年以上、第一線に立ち続けても人望が落ちなかったとも言えるのである。

男気とは「主役を譲れる強さ」

武が示した男気は「主役は自分ではない」という礼節と謙虚な闘志だった。

オグリキャップも、スペシャルウィークも、ディープインパクトも、キタサンブラックも、
誰より輝かせたのは武豊だった。そして武自身は、いつもその一歩後ろに立っていた。

名馬を愛し、競馬を愛し、人を敬う。そんな姿勢を40年近く貫いてきたからこそ、武豊は「レジェンド」と呼ばれる。競馬界には数多くの名ジョッキーがいるが、名馬に最も愛された男は、おそらく武豊をおいては他にないだろう。(敬称略)

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