車が通れない被災地でバイクが活躍 蝶野正洋が考える“災害に強い移動手段”【蝶野正洋の黒の履歴書】

50cc原付の生産終了に思うこと

防災活動の一環で、被害を受けた地域をいろいろ見て回って思ったけど、災害時に小回りが利いて便利なのは、実はクルマよりバイクなんだよね。

全国の消防団がいま力を入れているのもバイク部隊。東日本大震災のとき、瓦礫だらけでクルマだと走れないような状況でも、バイクなら物資や情報を運ぶことができたという。避難そのものには向かないかもしれないけど、被災後の足回りとしてはバイクが非常に役に立つ。

そこで比較的扱いやすいのが原付なんだけど、従来の50cc原付バイクは、新排出ガス規制への対応が難しく、2025年10月末で生産を終了している。

代替には電動バイクや新基準原付(排気量125cc以下のエンジンを使い、最高出力を抑えたもの)がある。ただ、新基準原付は従来の原付より大きくて重く、災害時に重宝された小回りのよさに劣る。電動バイクも停電すると充電が難しく、非常時の足として不安が残る。なんでもそうだけど、選択肢が狭まっている状況はよくない。一般家庭もオール電化で電気だけに頼ると、それが止まったときにどうしようもなくなる。

都心部で大雨によって電車が止まっているような状況でも、ずーっと駅内で並んで待っている人たちがいる。それぞれ事情はあるんだろうけど、これも他の帰宅ルートや手段を調べて切り替えるべきだよね。

無理して帰宅しなくても、一時避難するという方法もある。会社に設備が整っていて泊まっていいというところもあるし、各自治体が公民館などの施設を一時滞在施設として開放していることもある。水やブランケットなどが用意されていて、一晩ぐらい過ごせるようになってるんだよ。

いざというときのために、複数の選択肢を想定しておく。これだけでも立派な防災活動なんだよ。

「週刊実話」10月1・8日号より

蝶野正洋(ちょうの・まさひろ)

1963年シアトル生まれ。84年に新日本プロレス入団。「nWo JAPAN」を率いるなど“黒のカリスマ”として活躍し、2010年に退団。現在はプロレス関係の他に、テレビやイベントに出演するタレント活動、「救急救命」「地域防災」などの啓発活動にも力を入れる。