母ビリーヴから20年、7歳馬の涙のGⅠ…競馬記者が選ぶスプリンターズS名勝負後編

⑧ロードカナロア(2012年・2013年)
香港をも震撼させた「絶対王者」の完璧なる連覇ロード

ロードカナロア

サクラバクシンオー以来、日本に現れた「絶対的な短距離王」がロードカナロアだ。

2012年のスプリンターズSでは、岩田康誠騎手を背にカレンチャンとの激しい同厩舎対決を制し、ついに覚醒。続く香港スプリントを日本馬として初制覇し、世界にその名を轟かせた。

圧巻だったのは翌2013年。もはや国内に敵なしと目される中、単勝1.3倍という圧倒的な支持を受けて出走。レースでは好位から危なげなく抜け出し、他馬を寄せ付けない完勝で連覇を飾った。

どんな展開になっても崩れない精神力と、他を圧倒するスピード。その後、香港スプリントで連覇を果たして引退したが、日本競馬界に「世界のカナロア」の強烈な記憶を焼き付けた。

⑨グランアレグリア(2020年)
次元が違った! 牝馬三冠世代を蹴散らしたマイル絶対女王の“異次元”ワープ

グランアレグリア

2020年のスプリンターズSは、歴史に残る「異次元の強さ」が披露された一戦だった。

マイル絶対女王のグランアレグリアが、短距離王の座も手にするべく参戦。しかし、レースは前半から超ハイペースとなり、グランアレグリアはまさかの後方2番手からの競馬を強いられる。中山の短い直線、いくらなんでも届かない――誰もがそう思った。

だが、クリストフ・ルメール騎手がゴーサインを出すと、そこから信じられない光景が広がる。大外から文字通り「他馬が止まっている」かのような脚で猛追。先行していたダノンスマッシュらを瞬時に置き去りにし、最後は2馬身差の完勝。まさにワープしたかのような衝撃的な末脚に、場内(コロナ禍の制限下)と画面前のファンは息をのんだ。