不祥事続き広島カープが立ち返るべき黄金伝説 黒田博樹メジャー大型契約より古巣を選んだ男気の正体【スポーツ界"男気列伝"】

「育ててもらった球団」で終わりたい

黒田が復帰会見で繰り返したのは、派手な決意表明ではない。

「カープに育ててもらった。」

「最後はカープのユニホームで終わりたい。」

それだけだった。実に黒田らしい。恩義を大声で語るのではなく、行動で示す。

広島が提示できる条件は、メジャー球団とは比較にならない。それでも黒田は金額ではなく、自分をプロ野球選手として育ててくれた球団への思いを優先した。

「そのため、この決断はスポーツ紙やテレビで“男気復帰”と大きく報じられ、広島ファンだけでなく、他球団のファンからも大きな称賛を集めた。『これぞプロ』そんな声が全国から上がったのです」(スポーツ紙デスク)

エースは言葉ではなく背中で引っ張る

黒田は決して熱血タイプではない。ベンチで大声を張り上げることもなければ、後輩を人前で叱ることも少ない。

だが、マウンドに立てば誰よりも責任感が強かった。苦しい試合でも簡単には降板せず、内角を恐れず攻め続ける。メジャー時代には強打者ぞろいの打線を相手にローテーションを守り抜き、広島復帰後も若い投手陣の精神的支柱となった。

大瀬良大地をはじめ、多くの後輩が「黒田さんの姿勢から学んだ」と語っているように、黒田は技術以上に「プロとしての覚悟」を背中で教えた。まさに、言葉より行動で示すリーダーだった。

25年ぶりの歓喜を呼び込んだ男

2016年、広島は25年ぶりのリーグ優勝を果たす。その中心にいたのが黒田だった。

「若手が勢いよく腕を振れるのも、ベンチに絶対的な柱がいたからこそ。優勝決定後、涙ぐむ新井貴浩と抱き合う場面は、今なお球史に残る名シーンとして語り継がれている。このリーグ優勝は、勝利以上に多くのファンの胸を熱くした瞬間だったのです」(同)

本当の男気は「義理を通すこと」

昭和の時代には「豪快」が男気のキーワードだった。しかし黒田博樹は、新しい男気を教えてくれた。

恩を忘れない。責任から逃げない。そして、静かに義理を通す。大金より信念を選び、派手な自己主張より結果を残す――だからこそ、黒田は引退した今でも「男気」という言葉の代名詞であり続けている。

男気とは、拳や酒量の強さではない。人生の岐路で何を選ぶか。黒田博樹という男は、その答えを静かに示してみせたのである。(敬称略)

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