「真っ赤な傘に一目惚れ」キノコを30年追い続ける“キノコライター”堀博美の偏愛人生【死ぬ前にやっておくべきこと】

キノコライターの堀博美(C)週刊実話Web

村瀬秀信氏による人気連載「死ぬ前にやっておくべきこと」。キノコライターの堀博美をインタビュー(前編)。キノコに対する熱い思いをたっぷり語っていただいた。

かわいくて美味しくて毒もある“菌の世界”の底なし沼

キノコ。それは世界に約50万種、日本では約1万種が存在していると考えられている。そのうち名前がついているのは約2000~3000種、食べられるキノコはわずか100種類。つまり、このキノコに覆われた星・地球にありながら、我々が触れているキノコは本当に一部分でしかない。

キノコの世界。その深淵なる菌の世界へと踏み出してしまった者はキノコ狩りに行き、キノコウオッチングをし、キノコ鍋を食べて、毒キノコにやられても、それでもキノコを求め続ける。その魅力にやられたキノコ愛好家、博士、マニアは数いれど、キノコを書いて伝えるキノコライターは一人しか思い当たらない。

キノコライター堀博美。京都市在住。キノコ歴約30年。その間に記したキノコ著作は代表作『きのこる~キノコLOVE111』(山と溪谷社)、『珍菌』(光文社)などの著書のほか、「堀博美きのこサークル」の名で各地の同人誌即売会でキノコ偏愛に満ち満ちた同人誌を販売し、キノコの世界を世間に知らしめてきた。

「最近はこの暑さですからね。京都も暑くてしょうがないですが、先日行ってきたイギリスも記録的な猛暑でして、キノコもこの暑さで生えづらくなっているようです。キノコ愛好家の仲間たちからは、『こっちはもう全然や』とあちこちから悲鳴が聞こえてきますので、最近はすっかり家にひきこもって専ら8冊目の著作を書いておりますね」

そんな、はんなり京都弁で熱っぽくキノコを語る堀博美の正体は、誰であろう先日イギリスで行われた「Bristol Artist's Book Event」にも出展した現代美術家の福本浩子である。代表作の『Mycobook』は、本にキノコの菌を植え、本物の本から本物のキノコを生やして作品とした前代未聞の不思議な作品……と「キノコ+本」へのダダ洩れてしまう愛情はもはや名義をも超えてきている。

「もともとは仕事がお堅いところだったもので、活動ごとに名前を変えていたのですが、最近ではもう同一人物であるということは隠していないですね。私も30年ぐらいキノコを追い掛けていますが、キノコというものは、名義どころか、あらゆるものを超越してくるぐらい奥深いんですよ。まず見てカワイイ。食べて美味しく、時には毒があるというミステリアスさもたまらない。自然界では動物の遺骸を土に返して森を作るなんて、偉い活動もしている。それぐらいキノコはどこを切っても魅力にあふれた逸材であると思います」

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