【國澤一誠のゾッとする実話怪談】第九夜 喜ぶパシリ――笑顔で狂気に従う男

何を頼まれても「嬉しそうに応じる人」はいませんでしたか・・・

あなたの周りに、何を頼まれても「嬉しそうに応じる人」はいませんでしたか。
どんな理不尽な命令でも、笑顔で従う人物。
もしその笑顔が、純粋さではなく「引き返せない歪み」だったとしたら――。

今回は、ある男性リスナーから寄せられた、後味の悪い実話怪談をお届けします。

■ 喜んでパシリになる少年

小・中学校の同級生に、「じゅんた(仮名)」という男の子がいました。
誰からも愛される明るい性格でしたが、どこか幼さが抜けきらない少年でした。

彼がクラスで人気者だった理由は、少し変わった特徴にあります。
誰かが「じゅんた、牛乳買ってきて」と頼むと、彼は嬉しそうに「はい!」と返事をし、スキップで買いに行ってニコニコと戻ってくるのです。

世にも珍しい、「喜んでパシリになる子」でした。
周りもイジメや嫌がらせという感覚は一切なく、何か頼み事があればすぐにじゅんたを頼るようになっていきました。

しかし、一人のクラスメイト・田中(仮名)が、その性質を悪ふざけに利用し始めたことで、事態は歪み始めます。

■ 教室を飛び出す条件反射

ある日の授業中、田中がニヤニヤしながら囁きました。
「じゅんた、牛乳買ってきて」

するとじゅんたは、授業中にもかかわらず「はい!」と大きな声で返事をし、そのまま教室を飛びしていきました。
当然、戻ってきたじゅんたは先生から苛烈に怒られました。

しかし、それからというもの、田中は面白がって授業中に何度も命令を繰り返すようになりました。
「じゅんた、牛乳」
その言葉を聞くたび、じゅんたはまるで条件反射のように「はい!」と叫んで教室を飛び出し、怒られる。

怒られてもなお、彼の顔にはどこか嬉しそうな笑みが浮かんでいました。
その笑顔に、私は言いようのない不気味さを感じ始めていました。

■ 突然の暴行事件と、クラスの冷え込み

中学2年生の時、学校中を揺るがす大問題が起きます。
あのじゅんたが、年下の小学生の男の子を突然殴りつけたというのです。

幸い相手に大きな怪我はなく、警察沙汰にはなりませんでした。
しかし、この事件を境に、クラスの空気は一変します。

「ニコニコ笑ってパシリをやっていたけれど、本当は相当なストレスが溜まっていたんじゃないか」
「いつ自分たちに危害が及ぶか分からない」

気味が悪くなった同級生たちは、誰一人としてじゅんたに話しかけなくなりました。
そのまま彼はクラスの片隅で、目立たない地味な存在として学生生活を終えました。

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