ベイスターズカフェ&バー『スターエール』とオーナーのセツ子(C)週刊実話Web
ベイスターズカフェ&バー『スターエール』とオーナーのセツ子(C)週刊実話Web

「一年でも、一日でも長く続けたい」無給で“ベイスターズカフェ”を守る女性の執念【死ぬ前にやっておくべきこと】

村瀬秀信氏による人気連載「死ぬ前にやっておくべきこと」。都内でベイスターズカフェ&バー『スターエール』のオーナー・セツ子をインタビュー(後編)。横浜DeNAベイスターズに対する熱い思いをたっぷり語っていただいた。

勝敗に左右される厳しい現実

「多くのベイスターズファンの人たちから、クラウドファンディングをはじめ、いろんな応援をしてもらって、この店をオープンすることができました。オープンした5月のゴールデンウイークはたくさんのお客さんに来てもらえて、『これが本当に現実なのだろうか』と思えるぐらい幸せな時間でした。本当にひとりひとりに『ありがとうございます』とお礼を言って回りたいぐらい感謝の気持ちがあります。それぐらい、お客さんが、お店まで足を運んでもらうことは大変なことなんだと、今まさに痛感していますからね」

ベイスターズカフェ&バー『スターエール』の店長セツ子が、噛み締めるように言葉を綴る。今年5月にオープンしたスターエールは、ベイスターズファンの間で話題になり、開店当初は多くの人たちが訪れた。

しかし、オープン期間が終わったことに加え、5月12日の「山本祐大トレードショック」以降、ベイスターズ本体の調子が急降下し、交流戦は負け続き。4勝15敗とどん底に落ち込んだ6月に入ると、調子に呼応するように客足が鈍りはじめる。週末はまだしも、平日には一人もお客が来ない日も出始めた。

「お客さんと話をしても、負けが続いていると『今は試合を見たいと思わない』という言葉が聞こえるようになってきました。私は『ベイスターズが勝っても負けても応援しよう』という思いが変わらないのでわからなかったのですが、チームの調子がお店の売り上げに直結してしまうということを感じました。ベイスターズは頑張ってくれて、7月からは調子が戻ってきましたが、それでも簡単に客足が戻ってはきませんね。お店も新メニューを開発、投入して、飽きさせないような仕組みを作ろうと頑張っているところですが、正直なところ焦りもありますね。このお店はシーズン中にある程度の売り上げを確保しなければなりませんから」

スターエールがベイスターズ戦をメインに据えている以上、プロ野球が終わる10月からの半年間をどうやって凌いでいくか︱︱。それは開店する前から分かりきっていた課題だった。

店内は通常のカフェでも通用するおしゃれな内装にし、ベイスターズグッズも最小限に抑えているのも、ベイスターズ戦がない時にカフェとして自立した営業形態にしなければ半年間、店として死に体となってしまうからだ。そうならないために、昼前から店を開け、カフェとして一般客への訴求も続けてきた。

スターエールは、カフェとしてのポテンシャルは高い。コーヒーも本格的、フードメニューもどれも看板メニューになれる力を持つが、それでも東京・大塚のホテル街の外れにある小さなカフェを見つけてもらうのは至難の業であった。

「シーズン中の今でも維持費だけで精一杯の状況で、 無給で続けている状況です。私は好きでやっているのでそれでも大丈夫なのですが、シーズン中に貯えを作るか、オフシーズンの間に何かを見つけなければ、この店は続けていけなくなります。でも、落ち込んでいてもしょうがないので、今はやれることをやるしかない。フードのテイクアウトや、Uber Eatsをはじめたり、近隣にチラシを配布してみたり、あとはイベントスペースとしてお店を貸し出せるように登録してみたり……。本当に試行錯誤の日々が続いています」

死ぬ前にやっておくべきこと】アーカイブ