「ベイスターズ一点突破は無謀」それでも都内に“ベイファンの聖地”を作った女性の執念【死ぬ前にやっておくべきこと】

ベイスターズカフェ&バー『スターエール』(C)週刊実話Web

連日満員の船出から一転、突然の閑古鳥

勝つチームが好きならば、ベイスターズなんて好きにならずに、巨人やソフトバンクを応援していればいい。ベイスターズファンは勝ちのみに魅力を感じない。何が起こるか分からない破天荒な面白さにこそ真髄がある。ベイ文化の土壌が何もない東京で、ベイスターズファンが集まれる拠点を作る。今は何も見えなくとも、思いを同じくする同志は必ず1人、2人と姿を見せる。そこから巻き起こる未来は、必ず面白いものになるはず。セツ子のそんな熱意が動かしたのは社長だけではなかった。

入居を認めた大家さん。申し込みをしてきたのは、飲食未経験の女性。名義になった会社も飲食とは無関係と条件的には厳しかったはずだが、たまたま親友が大のベイスターズファンで、「そんな店を都内でやろうとしている人を落としてはならない」と後押ししてくれていたという。さらに、同時に始めたクラウドファンディングでは、多くの人から協賛を集めた。

「店を出すには、まだまだ内装や設備投資、お店で試合を流す契約料など、社長に借りたお金だけでは100万円近く足りませんでした。もうクラウドファンディングに頼るしか手段がない。東京にベイスターズファンの人がどれだけいるのか分からない状態です。誰にも見向きもされないと思ってはじめたのですが、初日だけで27万円が集まったんです。衝撃でした。SNSでしか告知はしていないのですが、それを見た純粋なベイスターズファンの方たちが、賛同してくださって……感動したのと同時に、それだけの期待を受けてしまったことでちゃんとやらなければいけないと、思いを強くしました」

3月15日に100万円の目標で始まったクラウドファンディングは、オープンの5月1日までに大量に拡散され、終了3日前に目標の100万円を突破。最終的に197人から支援を受け、最終金額155万9000円を集めた。

その間にもセツ子のところへは「がんばってください」「こういうお店が欲しかったんです」というベイスターズファンからのメッセージが次々と届く。その一通一通に胸を熱くしながら、ゴールデンウイークに入った5月1日。カフェ&バー『スターエール』は開店した。

「本当にありえない奇跡が重なって、このお店をオープンすることができました。オープニング期間はGWだったこともあって連日満員で、本当にうれしくて、ありがたくて、夢を見ているようでした」

こんな日が死ぬまで続いていけばいいのに。そんなことを思えた日々は突然終わりを迎える。GWが終わった瞬間、客足がパッタリと途絶えてしまったのだ。
 (後編に続く)

「週刊実話」9月3日号より