新庄剛志、12億円を蹴った男が明かした"22億円の悲劇"【スポーツ界"男気列伝"】

新庄は阪神の提示を蹴ってメジャー最低保障額を選んだ

損得抜きに夢を追い、いざという時には身銭を切って弱者を救う――スポーツ界には、そんな男気を体現する者たちがいる。シリーズ「スポーツ界"男気列伝"」。今回は、阪神の12億円提示を蹴ってメジャーへ渡り、後輩・大谷翔平にも自らの苦い経験を明かして励ました新庄剛志を振り返る。

12億円を蹴った男の決断

華麗な守備、規格外の身体能力、そして誰もが驚くビッグマウス。阪神タイガースの黄金期を彩り、日本ハムでは「BIG BOSS」を名乗った新庄剛志。そのキャラクターの濃さゆえに"パフォーマー"として語られがちだが、素顔をのぞけば、金にも地位にも執着しない潔さと、後輩を思う情の厚さが見えてくる。今回は、そんな新庄の"男気"エピソードを一気読みだ。

12億円という現実を、夢のために手放した男

2000年オフ、FA権を取得した新庄氏に対し、阪神が用意した契約は5年総額12億円――当時としては破格の条件だったと報じられている。横浜、ヤクルトも交渉に名乗りを上げていたが、金額では阪神に一歩及ばなかった。

普通なら迷わず受け取るだろう。だが新庄はこの大金をあっさり手放し、単身ニューヨークへと渡った。会見での第一声は今も語り草だ。

「やっと自分に合った野球環境が見つかりました。その球団は、ニューヨーク・メッツです」

契約金はわずか30万ドル(日本円で約3300万円)。年俸は当時のメジャー最低保障額20万ドルに出来高払いが加わるだけの3年契約――阪神の提示額とは、まさにケタ違いだった。

スポーツ紙のデスクは、当時をこう振り返る。

「渡米直後の新庄は英会話もままならず、限られたフレーズだけでチームに溶け込んでいったという。それでも物怖じせず、身体能力と愛嬌でメジャーの舞台に立ち続けた。地位や実績に頼らない、新庄氏らしい生き方の原点がここにはあったのです」

「肩の強さがレベル違い」野村克也が見抜いた才能

阪神時代の指揮官・野村克也は、新庄の身体能力についてこう評したことがある。

「新庄の肩の強さはちょっとレベルが違う。体つきも手足が長くて背が高いのでピッチャー向き。どうしてこれまでマウンドに立たせなかったのかと思ったほど」

この一言から始まった"二刀流"挑戦は、結局キャンプとオープン戦2試合の登板で幕を閉じた。だが、名将をも唸らせたその身体能力こそが、新庄という選手の規格外ぶりを何より物語っている。

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