「遺影にしてくれ」――アントニオ猪木、命懸けのイラク人質解放劇【スポーツ界"男気列伝"】

「元気があれば何でもできる」の真意

猪木の男気は、金銭や行動力だけにとどまらない。「元気ですか-!」「1、2、3、ダーッ!」の掛け声は国民的な合言葉となり、テレビの前の多くの人を励まし続けた。

「出る前に負けることを考えるバカはいるかよっ」――迷いを断ち切るこの言葉は、猪木自身が数々の修羅場を乗り越えてきたからこそ、多くの人の心に響いたのだろう。

引退セレモニーなどで猪木が繰り返し朗読した「この道を行けばどうなるものか危ぶむことなかれ 危ぶめば道はなし 踏み出せばその一歩が道となる」という一節も、多くのファンに勇気を与え続けた。

猪木自身は長らく一休禅師の言葉として紹介していたが、実際の原典は僧侶・清沢哲夫氏が1951年に発表した詩「道」であることが後に判明し、2022年のNHK追悼特番でも作詞者として清沢氏の名がクレジットされている。

晩年、難病と闘いながらも公の場に姿を見せ続け、最後まで挑戦者であり続けた姿勢もまた、有言実行を貫いた彼らしい生き様だった。

借金さえも味方につけた生き様

「新規事業の度重なる失敗で莫大な借金を抱えても、猪木氏は最後まで前を向き続けた。周囲を巻き込みながらも、リングと同じように現実の修羅場でも戦い続けたその姿勢は、賛否はありながらも多くの関係者やファンを惹きつけてやまなかったのです」(専門誌記者)

損得を超えて夢に生き、いざという時には身銭を切って人助けに向かう――「燃える闘魂」アントニオ猪木の男気は、プロレス界の枠を超えて今も語り継がれている。
(敬称略)

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