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釈由美子『ロックダウン・ホテル/死・霊・感・染』公開直前インタビュー

釈由美子
釈由美子 (C)週刊実話Web

――映画『ロックダウン・ホテル/死・霊・感・染』(7月2日より全国でロードショー)は、未知の殺人ウイルスがホテルで感染爆発を起こすという海外作品ですが、オファーを受けた理由は?

釈由美子「私もホラー映画は得意ではないのですが、脚本を見て、日本人の妊婦役という役柄だったので出演を決めました。でも、初めてのホラー映画出演ですし、『撮影現場から怖いのかな』という不安や戸惑いはありましたね。オファーは2018年の夏だったので新型コロナウイルスもなく、このように世に問いかける作品になるとは思いもしませんでした。カナダ映画ということで、外国人の監督、スタッフ、キャストに自分が入り込んで、どんな化学反応が起こるかが楽しみで、勉強として参加させてもらいましたね」

――日本人の妊婦・ナオミは殺人ウイルスに感染してしまいます。その演技も見事でした。

釈「予告編にもあるウイルスのせいで手が震え、電話を落としてガクっと倒れる演技は自分でも印象に残っています。私は台本を読み込んで、リハーサルでいくつかのパターンを試しながら監督からOKをもらっていました。撮るときに、ウイルスのフェーズを確認するんですね。最初は違和感があり、次に手がしびれ、痙攣する。さらに呼吸ができなくなり、筋肉が硬直し、最後は死などと細かく進んでいきます。人によっては攻撃的になるとも設定されていました」

――ゾンビのような人々の姿が恐怖をあおりますね。

釈「私はわりと、全編這いつくばって、うめいているシーンが多かった気がします。ただ、監督は単純に『キャー』と叫ぶような怖さではなく、感情を押し殺して、息をのむような恐怖を目指していました」

――そうですね。映画には重い空気感が漂っていました。実際の撮影はカナダで行われたんですね。

釈「オファーから半年近く英語を勉強して、撮影は12月、真冬のモントリオールに行きました。気温はマイナス20度!! 野外のシーンもあったのですが、ブルブル震えが止まらず、オフの日にカナダグースのダウンを買っちゃいました」

釈由美子流の英会話勉強法とは?

――海外の映画の現場はどんな感じなんですか?

釈「今回は、現場もマネジャーなしの一人だったので、海外武者修行でしたね。ハリウッドの現場とかにはケータリングも来るそうですが、そんなことはなく、舞台となったホテルで毎日同じ料理が出てきていました。共演者やスタッフと会話をしながら食事もしていました」

――その会話も英語ですよね。なにか釈さん流の勉強法はあるんでしょうか?

釈「テレビ番組『英語でしゃべらナイト』(NHK)のインタビューなどの経験は、英語の土台になっていると思います。今回も、子供に英語の歌をかけて耳を慣らしたり、一緒に英語の絵本を読んだりしましたね。そのインプットをアウトプットにするためオンライン英会話でも練習しました。あとは慣用句を受験生並みに勉強していました」

――やはり英語は努力なしには難しいですね。

釈「私は仕事で必要に迫られたから、できたんですよ。みなさんも昇進するとか目標があれば、がんばれます。英語を勉強ととらえると続かなくなるので、趣味の延長と思えばいいんです。例えば好きな趣味のものを英語で検索してみたり、映画好きなら何度も見て、字幕なしにしてみるとか」

――世界進出を果たした釈さんだからこその上達法ですよ。そういえば、もともと「小さいオジサンを見た」などオカルトにも造詣が深い釈さんですが、今回はホラー映画で、心霊現象も出てきます。海外の撮影現場で霊的な体験はしていませんか?

釈「思い出してみるとあったような、なかったような…。私が見る心霊は、日本のお化けが多いんですよ。国が変わると周波数も変わるのかもしれないです。カナダでは金縛りに襲われました。でも、撮影で痙攣の芝居をしすぎたからかも…(笑)」

――最近は心霊体験をしてないんですね?

釈「子供を産んでから感度が鈍ったみたいで、霊を見なくなりました。もう1作、アメリカのオクラホマで映画の撮影をしていたんですが、そのときはUFOと稲妻のような龍を見ました」

――詳しく聞かせてください!

釈「空がとても広くて『ここにジンジンきてるな』と思ったら、クラゲみたいな形のUFOがいましたよ」

――十分なオカルト体験です。

グラビア復帰の可能性はズバリ!?

――この映画で見せる美貌も素晴らしかったですが、ずばりグラビア復帰はありますか?

釈「残念ながら、私はなしです。ウチは子供が男の子なので、水着などのセクシー系グラビアは、将来『お母さんやめて~』ってなりますよ(笑)。だから、ないです」

――では「40代のグラビア」を女性目線で見るといかがですか?

釈「グラビアという言葉には淫靡なイメージがつきまといますが、ひとつの写真作品となれば違いますね。10代、20代の写真の美しさはあります、でも40代なら、年輪を重ねた色気も出せますよね。鍛えて、かっこいい体の人もたくさんいるので、ありだと思います。私も20代、30代では体を鍛えたり絞ったりしていたんですけどね。今は子供の海やプールについていくにも、肌をさらしたくないんですよ。タイツと上着のラッシュガードを着て、麦わら帽子、マスクにサングラスと完全防備しています」

――いえいえ、釈さんも20代の頃から体型もキープなさっています。秘訣はありますか?

釈「キープなんて、そんなことないです。コロナ禍のステイホームでは、1日何百歩しか歩いていないときもあって、私もだらしない体になっちゃって…。そんな風にいよいよやばくなったときに、やっと自覚するんですよ。それからヨガに通ったり、一時期はパーソナルトレーニングもしていましたね」

――中年男性にはヨガとかジムはハードルが高いです。

釈「私も、重いものを持ったりするジムはしんどいですよ。そういった方の健康法としては、私は山ガールなので、登山をオススメします。東京圏内なら高尾山や丹沢もいいですよ。気分がリフレッシュできるし、意識しないで体を動かせます。無理をしない程度で、健康的な体であれば、多少肉付きが良くてもいいんじゃないですか」

将来“自分クライシス”にならないように…

――今後はどのように活動を続けていきますか?

釈「今はお仕事と子育てで手一杯です。自分の中でエネルギーを燃やせるものは子育てですが、『育児に専念するので仕事を辞めます』とまではなりませんでした。今回の映画のように新しい演技に没頭しているときは、いい意味で無になれますね。演技も20代、30代のときは『もっと自分を知ってもらいたい』と承認欲求がありましたが、40代を迎えて打算的なものがなくなり、純粋な気持ちで楽しんでいます。自己分析すると自分の中に『欲』がない状態なのかとも思います」

――無欲とはスゴい! それでも釈さんは仕事を続けていますし、支えるファンもたくさんいます。

釈「私はこのまま仕事を失っても、それは自分の責任だからやむを得ない、と腹をくくっています。今後は、子供が巣立った後の人生の目標をどうしようと悩むときもありますよ。将来、〝自分クライシス〟にならないように、新しい趣味や好きなものを増やしたいんです。ステイホームの時期に新しい映画や舞台を見たり、これまで手に取らなかったジャンルの本を読んだりしているのも、その一環です。仕事に直結しなくても、自分の引き出しを増やすチャンスと考え、子育てだけではない、自分のフェーズを作っていきたいです。また、女優としても、どんなジャンルのオファーでも、求められたら全力で応えたい、という気持ちは変わりません。コロナの影響はまだまだ続きそうですが、劇場でぜひ本作品の恐怖と臨場感を味わってほしいですね」

《文:松本祐貴/企画:丸山剛史》

釈由美子
1978年東京都生まれ。女優。97年にグラビアでデビューし、写真集も多数出版。その後、映画『修羅雪姫』、『ゴジラ×メカゴジラ』やドラマなどでも女優として活躍。今回の映画で世界進出を飾った。美容関連本も出版し、山ガールとしても有名。
映画公式サイト:https://lockdown-hotel.com/

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