混戦の名古屋場所を制した安青錦! 崖っぷちからの大関返り咲き優勝と横綱への野望

相撲協会より
大相撲名古屋場所(IGアリーナ)は連日超満員のうちに幕を閉じたが、大の里、豊昇龍の両横綱がまさかの星落としを続ける中、この混戦を制したのは、崖っぷちから這い上がった関脇・安青錦(22)だった。本割で熱海富士に敗れて12勝3敗の三つ巴に持ち込まれながら、優勝決定巴戦で熱海富士、大関・霧島を連破。史上初となる「大関返り咲き場所での優勝」という離れ業をやってのけ、満員の観客を熱狂させた。

今場所の安青錦は、春場所、左足小指を骨折して7勝8敗と入門以来、初めて負け越し、先場所は左足首を痛めて全休。せっかく手に入れた大関の座をたった3場所で明け渡し、関脇に転落していた。

ただでさえ気持ちが萎える状況に加え、いまだ左足首の状態はおもわしくなく、テープが二重にも三重にも巻かれていた。このため、場所前はまったく出稽古ができず、ついに関取との稽古もゼロ。出場して大丈夫か、勝てるのか、と危ぶむ声が飛び交う中、安青錦は取材陣にこう断言した。

「今場所は(特例で大関に復帰できる)10勝ではなくて、優勝を目指す」

深夜の治療を乗り越えた異次元の根性…両横綱を撃破し大関復帰

これが口先だけの与太話でなかったことは、本番での戦いぶりをみれば一目瞭然だった。大の里、豊昇龍の両横綱がバタバタと星を落とすのを尻目にいきなり3連勝し、1日置いてまた7連勝。とりわけ、観客の感動を呼んだのが9、10日目の横綱戦だった。

前日の8日目、隆の勝の突き落としでバランスを崩し、またもや左足の親指を負傷。危機的な状況だったことは、その晩、おかみさんの絵莉さんが急きょ、東京から医者を呼び寄せ、

「(午前4時に)サッカーのW杯が始まるくらいまで治療を受けていた」

と言う師匠の証言でも分かる。しかし、安青錦は足を引きずりながら土俵に上がると、大の里を上手出し投げ、豊昇龍を上手投げでブン投げ、11日目、あっさり10勝目を挙げて大関復帰を決めたのだ。

「今の大相撲界に、あんな根性相撲を取れる力士はいませんよ。13日目、優勝争いをしていた霧島との2敗対決でも、痛む足で踏ん張って快勝。九重審判長(元大関千代大海)は『闘争心と集中力が抜群。背中が大きく見える』と絶賛していました」(大相撲担当記者)

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 「一番上の番付」へ…秋場所で巻き起こる三つ巴の世代交代劇

千秋楽から一夜明けた27日の記者会見で、安青錦は「勢いだけではないというのを見せることができた。一番上の番付を狙っていく」と言い切った。9月13日初日の秋場所(両国国技館)では大関に復帰して臨む上、綱取りへの照準もすでに定まっている。

ライバルの霧島も再び綱取りに挑み、熱海富士は初の大関取りに名乗りを挙げるなど、秋場所は三つ巴の"世代交代劇"の様相を呈しそうだ。左足の状態次第では巡業を回避する可能性もあるというが、満身創痍でも根性で結果を出し続けてきた安青錦だけに、次の優勝がそのまま綱取りの号砲となる公算は大きい。

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