熊本地震に便乗したSNSデマ投稿に産経デジタルzakⅡもダマされる

産経デジタルzakⅡのホームページより


10年前の教訓が生かさていない──産経デジタルzakⅡ(zakzak)は7月30日、前日に配信した熊本地震関連の記事を取り消した。Xに投稿された「母が死亡した」とするSOSをもとに、勤務中のスマートフォン使用を禁じる職場ルールとの兼ね合いを報じたもの。

配信直後から読者から投稿の信ぴょう性を疑う声

問題の記事は、地震発生後にXへ投稿された「悲痛なSOS」と紹介された女性ユーザーの言葉を軸に構成。勤務先のスマートフォン使用制限ルールが、被災者家族の連絡手段を妨げているのではないかという切り口で、災害時の情報発信や職場の運用をめぐる論点を示した内容だった。

ただ、配信直後から読者から投稿の信ぴょう性を疑う指摘が相次いだため、編集部があらためて事実関係を洗い直した結果、震災に便乗してインプレッションや同情を集める目的の、詐欺的なフェイク投稿である可能性が高いと判断したという。

「震災に便乗した詐欺ですね。当のXアカウントは消されています。クレア(イオンモール熊本)爆発事故直後に、テナントの飲食店勤務の母親と連絡が取れないことをツイートしたあと、亡くなったことを報告し同情を集め、PayPayなどで“おくやみ”としてお金が集まっていました」とは、メディア関係者。

しかし、飲食店に勤務する店員から「そのような人物はいない」との情報が寄せられ、嘘がバレてしまった。

「地震発生からわずか3日間のできごとです。あまりにも早い展開で、ダマされたことを知らないネットユーザーもいるのではないでしょうか」(前同)

編集部が非を認める「報道倫理に反する重大な過失」

編集部は取り消しの発表文で、「災害という人命に関わる重大な事象において、報道機関として必須の『事前の事実確認』を著しく欠いたまま、SNS上の情報を鵜呑みにして記事化し、拡散してしまったことは、報道倫理に反する重大な過失です」と述べた。弁解の余地がないとして、非を認める姿勢を明確にした。

また、不安な状況にある被災地の住民や、家族の安否を案じる人々の感情を害し、混乱を招いたことについても謝罪の意を示した。今後はSNS上の情報を扱う際のファクトチェック体制を抜本的に見直し、再発防止に努める方針も示している。

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