本塁打・安打・塁打、3つの最多記録は今も健在 史上最強打線・智弁和歌山の夏【夏の甲子園不滅の記録②】

投手力ではなく打力で勝ち上がった異色チーム

智弁和歌山のもうひとつの特徴は、当時としては異色だった「継投策」だ。エース1人に頼る昭和的なスタイルが主流だった時代に、複数投手を上手く継投しながら、圧倒的な打力で試合を決める現代型の戦い方を実践していた。

実際、この大会での失点は合計34と多く、投手陣は決して安定していなかった。それでも「打って勝つ」というスタイルを貫き、頂点まで駆け上がった。

5番・捕手として活躍し、自身も3本塁打を放った後藤仁によれば、初戦の新発田農戦ではバントが一つも決まらず、翌日は終日バント練習に費やしたというエピソードも残っている。

打撃だけでなく、こうした小さな課題にも一つひとつ向き合い続けたことが、結果的にチーム全体の総合力を高めていったのかもしれない。なお2年生として出場した武内晋一は、後にプロ入りしヤクルトでも活躍する好打者へと成長していく。

100安打、11本塁打、157塁打。この3つの大会記録は、令和の今もなお現役の記録として残り続けている。近年も強力打線を擁するチームは数多く登場しているが、いずれもこの壁を超えられていない。

歴代最強打線とも称される智弁和歌山の強さは、単発の一発勝負ではなく、6試合という長い戦いの中で粘り強く積み上げられたものだった点に、本当の凄みがある。今年の夏、この記録に挑むチームが現れるのか、開幕が楽しみだ。

【夏の甲子園不滅の記録③】に続く

【関連】【前編】江川卓「空白の1日」の真相…深夜の実家張り込みと独占スクープの舞台裏【記者失格 最終回】
【関連】2,500安打は"花道"か、それとも続投か――坂本勇人を巡る巨人最大の難題