86歳・山本晋也監督が語る“ピンク映画黄金時代”「5日で1本撮る現場は戦争だった」

山本晋也(C)週刊実話Web

観客を夢中にした“山本流”映画術

山本監督の代表作といえば、『女湯』『痴漢』『未亡人下宿』の3シリーズが有名だ。いずれもコメディータッチだが、持ち前のパロディー&サービス精神を発揮して“山本晋也ワールド”が炸裂している。

――「女湯シリーズ」は当時、テレビで人気だったドラマ『時間ですよ』(TBS系)と似ていると言われたことがありましたが。
山本 ウチの方が先で、向こうがマネをしたんだ。その証拠に、こっちで使った女優を使っているもん。それも、もったいぶったようにね。でも、大勢の女性が出ていたから、手拭いで下半身が映らないようにするのは大変だったよ。

――「未亡人下宿シリーズ」は、元となった題材はあったのですか?
山本 あれはね、戦争未亡人がネタ元になっている。彼女たちって慎ましく品のある姿をしているけど、男の体を覚えているわけだからね。

――監督は戦争体験があるんですよね。
山本 まだ、物心のつかない小さい頃にね。それでも、東京大空襲で大人の男性が焼け焦げになっている姿は覚えているよ。

――映画のシーンでは遺影が置かれていて、学生と性交をする際、後ろ向きにさせるのが、情緒があって良かったです。
山本 あれ、毎回見に来てていた人は分かっていると思うけど、そのつど写真が微妙に違うんだ。細かな部分に気を使って撮っていた。

――五代目未亡人の橘雪子は一躍人気者になり、今でもファンが多いですね。
山本 8頭身の美人じゃなかったから良かったんだよね。お客さんにとっては、白くてふくよかなところが、何とも言えなかったんだろうね。僕は女優を育てるのは上手だと思ってはいないけど、彼女なんかはうまくいった方かな。

――濡れ場シーンに流れる音楽が実在する大学校歌で、学生はみんな大喜びでした。
山本 学校側からの反応を気にしていたんだけど、クレームなどは一度もなかった。映画館のドアの外にも聞こえて、ロビーにいた人は、中で何が起こったんだろうと思ったみたいだね。

――このシリーズは第2弾から日活の買い取り作品となり、回を追うごとにグングン人気を集め、結果的に16本作られました。
山本 そのことに関しては、ちょっと言っておきたい。日活が発表する前年度のヒット作品をチェックすると必ず自分のも入っているんだけど、一緒に公開された自社作品を大事にして、そちらの方を上位にするんだよね。お客さんは僕のものを目当てに来ていたのだから、納得がいかなかった。