空から魚、満潮ノーゲーム、幻の初アーチ…プロ野球の雨天中止・コールドゲームがもたらしたNPB衝撃アクシデント5選

プロ初本塁打が降雨コールドゲームで幻となった上田希由翔選(Instagramより)

この週末、台風7号と8号が相次いで日本列島に接近しており、甲子園やマツダスタジアムをはじめとする各地のゲームが「雨天中止の危機」に直面している。

プロ野球ファンが今週末の空模様を固唾をのんで見守る中、NPBの長い歴史を振り返れば、天候や気象がもたらした影響は「単なる試合順延」だけにとどまらない。

公認野球規則の規定や予期せぬ自然災害は、ときに勝利を白紙に戻し、スター選手たちの歴史的な記念記録をも消滅させてきた。

まさに台風が迫り来る今だからこそ振り返りたい、NPBの歴史が生んだ「気象にまつわる重大アクシデント」を紹介していく。

◆ 2025年北九州市民球場、ソフトバンク戦の降雨コールド…ロッテ・上田希由翔「幻のプロ初本塁打」とルールの落とし穴

記憶に新しい天候の悲劇が、2025年7月17日に北九州市民球場で行われた福岡ソフトバンクホークス―千葉ロッテマリーンズの一戦だ。この地方球場特有の舞台で、プロ2年目の上田希由翔選手がルールの非情さに泣くこととなった。

2-2の同点で迎えた6回表の第3打席、無死一塁の場面で上田はソフトバンクの川口冬弥が投じたフォークを捉え、ライトスタンドへ勝ち越しの2点本塁打を放った。プロ野球選手にとって一生に一度の記念すべき「プロ初本塁打」となるはずの一発だった。

勢いづいたロッテ打線はその後も安田尚憲のタイムリーなどで加点し、スコアを6-2まで広げた。しかし、この回途中で雨脚が激化。試合は中断を挟んで無念の降雨コールドゲームが宣告された。

ここで問題となったのが公認野球規則の規定だ。5回裏が終了していたため、試合自体は「成立(ソフトバンク 2-2 ロッテの引き分け)」となったものの、6回裏のソフトバンクの攻撃が完了していなかったため、ルール上「6回表(ロッテの攻撃)の得点およびすべての記録」が丸ごと無効(白紙消滅)となった。

上田が放った起死回生の勝ち越し2ランも、これによって公式記録から完全に消し飛ばされた。試合後、上田は「まあ、でも記憶に残ったからいいんじゃないですか(笑い)。マリンで打てたらいいかなと思います」と気丈に振る舞ったが、北九州の夜に雨がもたらした「幻のプロ初アーチ」は、野球規則の仕組みをファンの脳裏に強く植え付けることとなった。

◆ 2016年楽天戦、コボスタ宮城の降雨ノーゲーム…オリックス・モレル「来日1号&2号」が同時に消えた日

野球のルールにおいて、5回終了前に試合が打ち切られた場合の降雨ノーゲームは、個人記録に対して極めて非情に作用する。その最大の被害者の一人が、2016年にオリックス・バファローズに加入した助っ人外国人、ブレント・モレルだ。

同年4月21日、コボスタ宮城で行われた東北楽天ゴールデンイーグルス―オリックスの一戦。この日は奇しくもモレル本人の誕生日だった。彼は1回表の第1打席で、弾丸ライナーでライトスタンドへ突き刺す待望の「来日第1号2ラン」を放ち、自らを祝う最高の一発を記録した。

さらに勢いに乗るモレルは、続く3回表の第2打席でも左中間へソロ本塁打を叩き込み、「来日第2号」を記録。誕生日に一試合で2本の本塁打を量産するという、これ以上ない鮮烈な形でのスタートダッシュを切った。

しかし、その直後の3回裏、楽天の攻撃中に激しい雨がスタジアムを襲う。天候は回復せず、審判団は降雨ノーゲームを宣告した。

5回が完了していなかったため、モレルが放った2本の本塁打は公式記録から揃って完全に抹消。しかもこの試合では、オリックス・糸井嘉男の第4号や、楽天のゼラス・ウィーラーの本塁打も飛び出していたが、これら合計4本の本塁打がすべて雨に流されるという異常事態だった。

自らの誕生日に放った記念すべき「1号」と「2号」が、同じ日に、同じ雨によって同時に幻となる二重、三重の切なさ。ルールの規定と天候の厳しさを物語る、実戦的なアクシデントであった。
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