今季9度目の雨天中止! 阪神・大竹耕太郎が背負う「大雨降太郎」の憂鬱と、甲子園の“空の十字架”

“大雨降太郎”こと阪神・大竹耕太郎投手(Instagramより)
6月25日甲子園球場から「中止」の二文字が届いた。阪神―ヤクルト戦、今季9度目の雨天中止。しかも6月だけで早くも6度目という、異常なペースである。

台風7号・8号がダブルで週末に向けて日本列島に接近する中、プロ野球はいま、空との戦いを余儀なくされている。そしてこの日、甲子園のマウンドに立つはずだった一人の男がいた。大竹耕太郎。今や虎党でその名を知らぬ者はいない、言わずと知れた『大雨降太郎』である

◆ 公式グッズも爆売れ! 異例の「新・雨男」が生んだファンの熱狂

2022年オフ、第1回現役ドラフトでソフトバンクから阪神へ移籍した大竹は、新天地で鮮やかな復活を遂げると同時に、奇妙な試練に直面した。彼が登板を予定される日になると、まるで判で押したように雨が降るのだ。

開幕直後から登板がことことく流れ、スポーツ紙はこぞって「新・雨男」と書き立てた。本名の「耕太郎」をもじった「大雨降太郎」という渾名は瞬く間にSNS上でバズり、阪神球団はそれを公式グッズ化。文字入りのフェイスタオルとして発売するという、前代未聞の展開にまで発展した。

先輩格の青柳晃洋がすでに「雨柳さん」という絶対的な異名を持っていたため、甲子園には公認の雨男が2人並び立つことになった。

当の本人はすっかり覚悟を決めている。打席の登場曲を故・八代亜紀の「雨の慕情」に設定し、昨季の試合前には不敵な笑みを浮かべてこう言い放った。

「雨が降った時点でもう今日は俺の日だなって……」

悲観でも開き直りでもなく、もはや「雨とともに在る」という境地。この達観こそが、大竹が甲子園のマウンドで愛される理由の一つでもある。

◆ なぜ阪神は中止が突出するのか? 聖地・甲子園を襲う地理的ハンデと“死のロード”

しかし、これは大竹個人のバイオリズムだけの問題ではない。近年のデータを紐解くと、セ・リーグ6球団のうち雨天中止試合が最も多いのは圧倒的に阪神であり、過去10年間で見てもその突出ぶりは際立っている。

広島のマツダスタジアムや横浜スタジアムも同じ屋外球場だが、甲子園には固有の「地理」と「日程」のハンデがある。兵庫・大阪は梅雨前線や台風の通り道になりやすいだけでなく、甲子園には「8月の高校野球(全国高校野球選手権大会)」という絶対的な聖域が存在する。

そのため、阪神は夏の約1カ月間、ホームゲームを一切組めない「死のロード」へと駆り出される。つまり、前半戦に雨で中止になった試合の振替日程をはめ込む余白がもともと極端に少なく、消化できなかった試合がどうしてもシーズン終盤に重く積み残されやすい構造になっているのだ。

東京ドームの巨人、バンテリンドームの中日、さらにパ・リーグ勢の多くが全天候型ドームを本拠地とする現代プロ野球において、この「空を見上げる宿命」は阪神が背負い続ける伝統の十字架とも言える。

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