【深淵ホラー劇場:映画界が封印した『G級の神々』】#9 変容する映画監督ドミツィアーノ・クリストファロ──身体と恐怖を操る異端の映像世界<前編>

自由な肉体表現が生み出す生理的な恐怖とは…

凄惨な流血や背徳的なエロス、そして自由な肉体表現が生み出す生理的な恐怖――。世界のアンダーグラウンド映画界において圧倒的な異彩を放ち続けるイタリアの鬼才ドミツィアーノ・クリストファロ監督は、これまでに50本近くもの挑発的なホラー映画を生み出し、コアなマニアから熱狂的な支持を集めてきた。一方で、ジャンルに縛られない変幻自在のスタイルによってファンを翻弄し続ける存在でもある。巨匠ルチオ・フルチらが築いた黄金期イタリアンホラーの血脈を受け継ぎながらも、独自の道を切り拓く彼の映画監督としての本質、そして衰退したと言われるイタリアンホラーへの至高の愛と距離感に迫る。


■変容を遂げる天才映画監督ドミツィアーノ・クリストファロが描く、禁断のアンダーグラウンド世界

変容を遂げる天才映画監督ドミツィアーノ・クリストファロが描く、禁断のアンダーグラウンド世界

アンダーグラウンド映画界において、苛烈な身体性と濃密な表現を孕んだホラー映画を量産するイタリアの鬼才ドミツィアーノ・クリストファロ。しかし、彼が演劇の世界では高名な演出家であり、さらに優れた舞踏家でもあるという事実はあまり知られていない。肉体の限界に挑むパフォーマンスを通じて人間の本質を探求し続ける彼は、ヨーロッパ芸術の最前線で極めて高い評価を獲得している。

自らのキャリアの原点について、ドミツィアーノは静かに語る。「私は演劇からキャリアをスタートさせ、映画の世界に入ったのはその約10年後のことでした」。その言葉には、彼の表現の核が“身体”にあるという揺るぎない確信が滲む。

これまでに手掛けた50本近くの映画作品群は、一見すると統一性に欠ける印象をアンダーグラウンド映画ファンに与えることもある。しかし、その理由について彼は明確に説明する。「私の作品はどれも、テーマ、照明、カメラワーク、スタイルがそれぞれ異なっています。スタイルを自在に操れるからではなく、むしろ逆です。現在に安住して同じことを繰り返したくないからです」。この言葉が示すように、クリストファロの創作は“変容”そのものを宿命としている。

彼は自らを単なるホラー映画監督やエクストリーム監督の枠に当てはめることを拒み、純粋な“映画監督”として存在し続けることを選んでいる。安易なレッテルは彼にとって創作の自由を奪う枷でしかなく、むしろその枠を壊し続けることこそが彼の本質だ。

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