【深淵ホラー劇場:映画界が封印した『G級の神々』】#9 変容する映画監督ドミツィアーノ・クリストファロ──身体と恐怖を操る異端の映像世界<前編>



■黄金期イタリアンホラーの血脈と、ドミツィアーノが保つ絶妙な距離感

黄金期イタリアンホラーの血脈と、ドミツィアーノが保つ絶妙な距離感

ドミツィアーノの曖昧な記憶によると、恐怖の魅力に目覚めたきっかけは、ボリス・カーロフが主演を務めた古典ホラー映画『ミイラ再生』だったという。2009年、映画『House of Flesh Mannequins(肉マネキンの家)』で鮮烈な監督デビューを果たした彼は、イタリアンホラーの名優ジョヴァンニ・ロンバルド・ラディーチェを起用したことで、黄金期の血脈を継ぐ存在として注目を集めた。しかし、この作品はロサンゼルスで製作されたアメリカ映画であり、イタリアンホラーの伝統を踏まえつつも、国境を越えた独自のスタンスを持つ作品だった。

自らのアイデンティティと活動の場について、彼は率直に胸の内を明かす。「イタリア人として生まれましたが、それ以外にイタリア人という意識はありません。そして私の活動の支援はほぼ海外から来ています。イタリアが私を真に受け入れてくれたことはありません」。その言葉には、イタリアンホラーの伝統を愛しながらも、国境に縛られない創作姿勢がはっきりと刻まれている。

それでも彼は、90年代のイタリアンホラー界を支えた敏腕脚本家アントニオ・テントリと緊密にコラボレーションし、『Virus Extreme Contamination(ウィルス極限汚染)』や『Mad Macbeth(マッド・マクベス)』といったカルトホラー映画を世に送り出した。さらに、ルチオ・フルチ監督の傑作『ナイトメア・コンサート』をリブートした『Nightmare Symphony(悪夢のシンフォニー)』も手掛けている。

『Nightmare Symphony』の製作当初は、カルロ・デ・メイヨ(『地獄の門』『墓地裏の家』)の出演が検討されていたが、メイヨの死去によって企画は一時暗礁に乗り上げた。最終的に映画監督フランク・ラロッジアが主役を演じることで、作品はようやく完成へと漕ぎ着けた。

クリストファロは、ホラー映画の黄金時代を築いた偉大な作り手たちと共に過ごした時間を「まるで夢のようだった」と振り返り、同時に「あの幸福な時代はもう終わった」と断言する。しかし、イタリアンホラーは完全に死んだのかという問いに対して、彼は静かに、しかし力強くこう答えた。「死ではなく、変容するのです」。その言葉には、イタリアンホラーというジャンルが新たな形へと進化し続けるという確信が宿っている。(後編へ続く)

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ドミツィアーノ・クリストファロ公式インスタグラム

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ドミツィアーノ・クリストファロ公式ウェブサイト

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インタビュー・本文/沙さ綺ゆがみ