「闇バイトに乗ったら人生終わり」――警察庁が学校に配った"5つの警告"とトクリュウ犯罪防止の限界点

「対面勧誘」に進化した闇バイト手口

しかし、警察庁の啓発策には構造的な限界があるとの声もある。語るのは、トクリュウ事件にも詳しい防犯アドバイザーだ。

「仮装身分捜査が本格導入され、SNSの闇バイト募集者の中に警察官が紛れ込む恐れが生まれたことで、犯罪グループは知人を通じた対面の勧誘に切り替えている。未成年の強盗グループの形成にもつながっているとみられ、さらに今回の指示役は事件前に少年らと直接集まっており、顔の見えない相手よりも対面で会った人物からの脅しの方が恐怖心を植え付けやすいという心理的効果を狙ったようなのです」

つまり、従来から言われてきた「SNSの怪しい求人に応募するな」という防止法を主軸とした啓発だけでは、すでに時代遅れになりつつある。「友人からの口コミ」で引き込まれてしまうケースが急増しているからだ。

啓発だけでは届かない子どもたちへ

トクリュウはマニュアルを日々アップデートし、組織を機能ごとに細分化させ、摘発リスクを織り込んだ上で事業継続性を高める、恐ろしくずる賢い「違法企業経営」の論理で動いている。

一方の警察や行政側の対抗手段は「トクリュウ」という大まかな犯罪に対する啓発で、個々のケースに対応しきれたものではない。そのため、このイタチごっこでは犯罪者側に分があり、被害者の根絶は難しいと言わざるを得ないのだ。

「高市首相は携帯通信の契約時の本人確認義務の範囲拡大や、架空名義口座を利用した詐欺対策を可能とする法案の提出を表明しており、制度面での対応も動き出してはいる。だが、少年を実行役に変える“人間関係を介したリクルート”を法律で封じ込めるのは容易ではない」(前出の警視庁担当記者)

警察庁の5つの警告は正しい。だが、問題は、犯罪に手を染めたら人生を棒に振る」という真意が子どもたちの心に、届くかどうかなのだ。

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