ピンク・レディー『Kiss In The Dark』が示す“日本音楽史の空白”とビルボード37位の衝撃【スージー鈴木の週刊歌謡実話第36回】



「ピ」に見えた偶然の系譜と小さな発見

ですが、それよりも驚いたのは「ピンク・レディーって凄かったんだ」。

『Kiss〜』は、彼女たちが日本ですでに落ち目になっていた頃の作品。そのせいか、ビルボード37位という、その後の47年間、日本人が誰も到達していないという大記録も、ちゃんと報道されなかったのです。

英語版『Kiss〜』をあらためて聴きました。何とも快調なディスコサウンド。

日本では、子供を意識した曲ばかり歌わされていた彼女たちですが、対して、ダンサブルかつ大人っぽくセクシーな『Kiss~』は、こちらこそ彼女たちにピッタリ合った曲だったと思いましたよ。

ピンク・レディーが、あの頃、あきらめることなく、もっと粘り強くアメリカに居座って音楽活動を続けていれば、今ごろ、JポップがKポップに、これほどの差を付けられることなど、なかったかもしれない。日本のアイドルがこぞってBTSの物まねをすることもなかったかも――と思ったのですが、果たして、どうだったんでしょうね。

あ、あと『ヒットの復権』を読んで、もう一つ思ったのは、こういうこと――「ピ」コ太郎も凄かったんだ。「ピ」ンク・レディーも含め「ピ」は凄かったんだ!

「週刊実話」6月18日号より

スージー鈴木/音楽評論家

1966(昭和41)年、大阪府東大阪市出身。『9の音粋』(BAYFM)月曜パーソナリティーを務めるほか、『桑田佳祐論』(新潮新書)、『大人のブルーハーツ』(廣済堂出版)、『沢田研二の音楽を聴く1980―1985』(講談社)など著書多数。