村上宗隆もジャッジも——スター選手が次々と倒れるMLBに蔓延する"故障パンデミック"の原因と、日本人選手が警戒すべき落とし穴

「ボールが違う・移動が違う・身体の使い方が違う」

ちなみに、日本人選手にはMLB全体の構造問題に加え、さらにいくつかのリスクがあるという。

「その一つがボールの違いだ。MLBで使われている公式球は、日本のプロ野球で使われる公式球に比べサイズも重量も大きく、縫い目も高く作られている。加えてMLBのボールはツルツルして滑りやすく、肘や肩に大きな負担がかかると言われる。NPBで何千球も投げ込んで鍛えた日本人投手の身体は、このボールの特性に最初から適応しているわけではないため、故障を招きやすいのです」(スポーツジャーナリスト)

また、「移動負荷」も大きな課題だ。MLBは球団数が30と多く、広い北米大陸のあちこちに本拠地を置いているため、シーズンを通して過酷な移動を強いられる。

東京〜ニューヨーク間の往復が約2万キロであることを考えれば、年間3万マイルを超えるとされる移動距離は、機内での身体圧迫を繰り返すことでコンディション管理を著しく難しくする。

さらに見落とされがちなのが「適応問題」だ。

「あるMLB球団が日本人選手を2年間調査したところ、2年目にパフォーマンスが急激に落ちた。その原因は人工芝でのプレーによる負担増と結論づけ、球団は獲得を断念した。人工芝は天然芝に比べて硬く反発が強いため、膝や股関節、太もも裏(ハムストリング)への慢性的な負担が大きいとされる。村上が痛めた『右太もも裏』もまさに人工芝でのプレーで酷使されやすい部位の一つでもあるのです。の変化も身体の消耗を加速させる。こうした球場環境のひとつひとつが日本人選手の故障リスクを大きく左右するのです」(同)

「故障パンデミック」は止まらない——村上の経験が次世代に伝えること

ジャッジのような生粋のアメリカ人スターでさえ故障を免れない。そしてMLBデビュー年から飛ばしに飛ばした村上もまた、右太もも裏という典型的な「蓄積疲労による筋肉系損傷」で倒れた。

この二つの戦線離脱は、選手のケガや故障に関してMLBが抱え続けてきた「構造的な問題」を浮き彫りにした。だが、それを避けることは、個人とチームのよりよい成績を残すための“水面下の戦い”であるとも言えるのだ。

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