村上宗隆もジャッジも——スター選手が次々と倒れるMLBに蔓延する"故障パンデミック"の原因と、日本人選手が警戒すべき落とし穴

ホワイトソックス公式インスタグラムより

6月に入って数日で、MLBのスター選手が2人同時に戦列を離れた。ホワイトソックスの村上宗隆(26)は5月29日のタイガース戦で走塁中に右太もも裏を負傷し、翌30日に故障者リスト(IL)入り。ベナブル監督は4〜6週間の離脱を示唆し、新人王ほぼ絶望的となった。

そのわずか数日後には、ヤンキースの不動の主砲アーロン・ジャッジも左足首でIL入りしたと報じられた。

だが実は、MLBには故障が多発する「構造的な理由」があることが指摘されているのだ。

「より速く、より鋭く」——球速追求が生む故障の連鎖

2024年12月、MLB機構は初めて「投手の故障に関する公式報告書」を発表した。200人以上の関係者(元選手・整形外科医・生体力学者など)から意見を収集した結論は明快だった。

「より速いボールを、より鋭い変化球を」という全力投球の追求こそが、故障増加の最大の原因だというものだ。

「2008年と2024年のデータを比較すると、4シームの平均球速は約3マイル(91.3→94.2mph=約147キロ→151キロ)上昇。スライダーも約2マイル、カーブとチェンジアップに至っては4マイル近く上昇している。これと比例するように、トミー・ジョン手術の件数も増加。球速だけでなく、回転数や回転軸など、より質の高いボールを追求することが投手への負担を高めている。この傾向はアメリカ人選手も日本人選手も例外ではない」(

野手についても事情は同じだ。打球速度・スプリントスピードをデータで追求する現代野球では、身体能力の限界を毎試合引き出すことが常態化している。

村上がシーズン序盤に20本塁打・41打点という驚異的な数字を残せたのも、その全力プレーの賜物だったが、それが右太もも裏への過負荷にもつながった可能性がある。

また、MLB機構公式報告書は次のようにも指摘している。
「投手の故障は20年間継続して増加している。スプリングトレーニングの故障が急増し、シーズン中の故障は逆に減少傾向にある。球速やstuff(球速、スピン、変化量などを数値化し、投手の投球効果を測定するも)の追求が故障の引き金になっているという点で、200人以上の関係者の意見が一致した」(MLB機構関係者)

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