「信用したアンタの落ち度だろ」創業初の女性管理職がハニートラップで降格 企業スパイの手口と教訓

パスワードを盗まれ社外秘情報が流出 「信用したアンタの落ち度だろ」

そんなAにすっかり油断してしまった松平さんはパソコンのパスワードをAに教えてしまう。

「パソコンでトラブルがあり、システムに詳しいAに事後処理を頼んだことがきっかけです。重要な文書などは個別にパスワードを設定していましたが、Aは簡単に見抜いてしまったようです」

パスワードを解除したAは松平さんのパソコンに保存されていた社外秘の企画書を自社に持ち込んでしまったという。

「Aの会社で弊社と同じ企画が進められていると上司から聞いた時は、目の前が真っ暗になりました。心当たりと言えばAしかいません」
その日自宅に戻った松平さんがAに問いただすと、Aはすんなり盗んだことを認めたらしい。

「全然悪びれた感じはなかったです。それどころか、『危機管理ができていないアンタが悪い』とまで言われました。『(俺を)信用したアンタの落ち度だろ?』とまで言われて、それまでの愛情とか信頼が一気に崩れ落ちた気がしました」

茫然と立ち尽くす松平さんに対し、Aは「そういうわけだから」と言い残すと、荷物を持ち、合鍵を置いて部屋を出て行ったという。

降格処分・女性活躍への影響 「後輩たちの未来を閉ざしたかも」

「あらかじめ、自分の荷物をまとめていたようでした。バレるのも時間の問題だと分かっていたんでしょうね。今思えば、バーの出会いから仕組まれたのかも知れません。Aがスパイだと見抜けなかった私がバカでした」

松平さんがハニートラップにかかったことは社内中に広まったそうで、「やっぱり女はダメだ…という風潮になりつつあります。私は頑張っている後輩女性たちの未来をも閉ざしてしまったかも知れません」

現在、松平さんは真剣に進退について考えている。

取材・文/清水芽々

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清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。