
『ジャニス・ジョプリン』
監督/デビッド・ホーン
出演/メアリー・ブリジット・デイヴィス、オーリアナ・アンジェリーク、アシュリー・テイマー・デイヴィス
配給/松竹
お仕事お疲れ様です!
私はよく、〝映画の姐さん〟と呼ばれますが、自分は音楽の人だと思っています。そう、ミュージックがないと生きていけないくらい大好き! だって、もともと私は歌手になりたくて日本に来たんだもの。なので、今年、ミュージカル『ウェイトレス』に出演できたことは人生の中で大きな意味を持ちました。
音楽を聴く時は断然80s。ジャニス・ジョプリンが唯一無二の歌手なのはもちろん知っていましたが、私が生まれる1カ月半前に亡くなっているため、正直、あまりピンと来ない。これまで聴こうと思ったことすらなかった私ですが、今回、このブロードウェイミュージカル『ジャニス・ジョプリン』が映像化されるとのことで、〝いいチャンス!〟と思いました。
正直言いまして、知っている曲はほとんどありません。そして、当然のことながら、演じてるのはジャニス本人でもありません。でもね…何か分からないけど、引き込まれる。セリフはなくて、表現はコンサート。その間のトークと曲の歌詞で人生を語っていきます。
とにかく、彼女の歌声が胸を打つ。たまらなく魅力的なハスキーボイスでの心からの雄叫びの連続に、知らない曲でも聴き入ってしまうから不思議です。本人じゃなくても、〝これが50年以上、語り継がれているジャニスなのね…〟と、愛され続けている理由が痛いほど分かりました。
やはり名曲は心に響く!
そして、ジャニスを演じるメアリー・ブリジット・デイヴィスの声帯を心配しつつも、その再現度にも驚き。さらに、ジャニスに影響を与えたアレサ・フランクリンやエタ・ジェイムズ、オデッタ、ニーナ・シモンなど、彼女たちを演じる方々の歌唱力にも圧倒され、ひざまずきたくなります。
27歳の若さで亡くなったジャニスの孤独な人生を、彼女の言葉を50年遅れで私は一つ一つ飲み込みました。特に〝死〟については、若くして亡くなるのを知っているからこそ、悲しくディープに感じ取れます。
ちなみに皆さん、2014年公開の『チョコレートドーナツ』は見ましたか? 作品中で、ボブ・ディランの『I Shall Be Released』を主人公が歌い上げていましたが、この映画にも登場します。私は、ボブ・ディランにもハマらなかったのですが、やはり名曲は心に響く! 今回も聞き惚れ、そして震えました。
皆さんもコロナ自粛の今、60~70年代の音楽に、改めて耳を向けてみては? 生きることへの大切な何かが見えてくると思いますよ。
LiLiCo
映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。
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