ブロック・レスナー引退示唆で再注目…蝶野正洋が振り返る“怪物レスナー”との激闘【蝶野正洋の黒の履歴書】

ブロディ級外国人と戦った全日本勢の底力

改めてレスナーのキャリアを眺めてみると、時代に翻弄された部分はあったかもしれないね。とはいえ、プロレスと総合格闘技で頂点を極めたのはレスナーぐらいで、歴史に残るスーパースターだと思う。

プロレスラーの「強さ」には、いろいろな見方があるけど、レスナーを史上最強と称えるファンも多いらしい。日本だとジャンボ鶴田さんもファンの間で「最強」と言われることが多いんだけど、あれだけ体が大きいのにバネも柔軟性もあって、なによりもその無尽蔵のスタミナがすごかったと聞くね。

ひと昔前の新日本プロレスやUWFのファンは、エンターテインメント性のあるアメリカンスタイルがベースの全日本プロレスの選手に対して、強さという点では下にみるという風潮があった。

でも、全日本によく参戦していた大型の外国人選手と試合をするには、相当な実力がないと対応できない。ブルーザー・ブロディは実力を認めていない相手に対しては、格下扱いをしてまともに試合をしないこともあったという。そんな外国人選手を黙らせるには、力ずくでも抑え込めるパワーや、試合をコントロールするテクニック、そしていざというときの強さも磨いていなきゃダメだろうね。

ただ、どんな強いプロレスラーも、気力・体力・技術が充実しているピークの時期は3年、長くても5年くらいだと思う。その時期にトップ選手として活躍できる環境にいられるかどうかは、運やタイミングの要素も出てくる。

そんなことも頭の隅に入れながらスポーツ観戦をすると、いろいろ見え方も変わってくるんじゃないかな。

「週刊実話」5月28日号より

蝶野正洋(ちょうの・まさひろ)

1963年シアトル生まれ。84年に新日本プロレス入団。「nWo JAPAN」を率いるなど〝黒のカリスマ〟として活躍し、2010年に退団。現在はプロレス関係の他に、テレビやイベントに出演するタレント活動、「救急救命」「地域防災」などの啓発活動にも力を入れる。