「災害報道は“大げさ”でいい」蝶野正洋が語る“テレビの役割”とSNS時代の危うさ【蝶野正洋の黒の履歴書】

アントニオ猪木がSNSをやっていたら大炎上

ただ、イラン情勢は情報が錯綜しているから、その受け止め方にも注意したいね。米国のトランプ大統領は、言っていることがコロコロ変わる。ホルムズ海峡を解放する、やっぱり閉めるとか、目まぐるしく状況が変化するから、いちいち反応しても取り越し苦労になってしまう。

これはSNSが発達した弊害だよ。トランプのような重役が思いついたらすぐ発信できてしまうから、まだ協議もしていないようなことが決定事項のように伝わってしまう。

交渉ごとなんて、話し合ってる最中に方針がどんどん変わっていくものだけど、今まではその途中経過は伏せて、結論が出てからマスコミに発表していた。でも、最近は意見がまとまる前に個人がSNSで発信するから、余計に混乱する。

これは普通の会社でも同じだよ。社長とか上司の言ってることなんてすぐ変わるんだから、そこでいちいち取り合ってたら決まるものも決まらない。

昔の新日本プロレスでいえば、(アントニオ)猪木さんなんて自分で言い出したプランを自分でひっくり返したり、急にぜんぜん関係ない人を連れてきたりするからね。あの頃にSNSがあって猪木さんが毎日発信してたら、周りは大変だったと思うよ。

今や情報の発信元が新聞、テレビ、インターネットにSNSと多様化したけど、その中身はどれも断片的になって、消費するのも早くなっている気がする。反射的に対応するのもいいけど、いろいろ見比べて、じっくり考えてみるのも大切だと思うよ。

「週刊実話」5月21日号より

蝶野正洋(ちょうの・まさひろ)

1963年シアトル生まれ。84年に新日本プロレス入団。「nWo JAPAN」を率いるなど〝黒のカリスマ〟として活躍し、2010年に退団。現在はプロレス関係の他に、テレビやイベントに出演するタレント活動、「救急救命」「地域防災」などの啓発活動にも力を入れる。