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東京五輪「観客上限1万人」が招く死者5000人超の“地獄絵図”

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菅義偉首相は6月17日、東京五輪・パラリンピックに国内の観客を入れて開催する方針を明らかにした。

観客の上限は1万人が見込まれている。新型コロナは収束していないが、果たして大丈夫か。

「テレビニュースで扱う数字は感染者数ばかりですが、もっと死者数にこだわってほしい。もし、東京五輪を中止して緊急事態宣言を継続していれば、月に死者数は300人程度に抑えられます。しかし、五輪を開催すれば、少なくとも第3波や第4波と同程度の感染者数が出ると予想される。第4波の立ち上がりからピークまでの死者数は2135人。五輪を開催した場合、その数以上の死者が出ると予想され、インド変異株の流行次第では死者が4000人を超えるかもしれない」

と語るのは、公衆衛生が専門の医師で作家の外岡立人氏だ。

「インフルエンザの致死率は0.1%。対する新型コロナの致死率は1.7%で、実に十数倍なのです。観客1万人を受け入れたら、1カ月の死者は5000人を超える可能性もある」

マスクでエアロゾル感染は防げない

菅首相はワクチン接種に五輪の命運を賭けている。「国民の命と健康を守るのは私の仕事。責任を持って行う」と語った上で「すべての市町村で7月末までに、希望する高齢者への2回接種が完了する見込みとの報告を受けている」と説明。接種加速による集団免疫獲得に「どんどん近づいていく」としているが…。

「予防が可能になるのは、積極的にアクションを起こさない高齢者だけです。社会の中核となる30~50代はどうでしょうか。そもそも、感染はウイルスを含んだ小さなエアロゾルを吸うことがほとんどです。感染者が発する咳やくしゃみ、唾液を直接吸うような状況は余程のことがない限り少ないとみられる。ちなみに、マスクを過信している人のために付け加えると、マスクは感染者から飛散する飛沫は防ぐが、エアロゾルを補足することはできない。つまり、マスクではエアロゾル感染は防止できないのです」(外岡氏)

五輪感染も防止できない。

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