「避難所に行く」のはもう古い! マンション住まいが知っておくべき"在宅避難"の新常識と必需品リスト

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「地震が来たらとにかく避難所へ」——その常識が、静かに書き換えられている。東京都は地域防災計画の改定で、新耐震基準を満たすマンション住民に対し、大規模地震時でも「できる限り避難所には行かず、自宅にとどまるよう」と明記した。

理由は単純だ。都内約3200~4800カ所の避難所の収容人数は約280万人。対してマンションなど共同住宅に住む都民は約900万人に上る(東京都調査)。全員が押し寄せれば、避難所は瞬時にその機能を失う。知らずに避難所に殺到した人が路頭に迷う時代が、すでに始まっているからだ。

「うちのマンションは丈夫だから大丈夫」が命取りになる理由

とはいえ、避難所を避け在宅避難する場合に最大の落とし穴となるのは「建物が無事=生活できる」という思い込みだ。

1981年6月以降の新耐震基準を満たすマンションは、震度6強〜7程度でも倒壊しない設計になっている。だがそれは「建物が壊れない」だけの話であり、ライフラインの維持を意味しない。

東京都防災会議の被害想定によれば、首都直下地震が発生した場合、停電は約7日で徐々に解消に向かうが、上水道の断水・濁水は約1カ月、下水道の利用制限も約1カ月にわたって続く可能性がある。マンションでは「水道が復旧しても、排水管の点検が完了するまでトイレは使用不可」というケースが珍しくない。

危機管理アドバイザーが言う。

「飲料水をためるより、非常用の簡易トイレを準備しておくのが最善です。お風呂に水を溜めても、排水管が損傷していれば使えない場合もある。まず、トイレの備えをするのが最優先と言えます」

最初に"詰む"のはトイレ——発災3時間以内に3割が「行きたい」

前出の危機管理アドバイザーによれば、東日本大震災で発災から3時間以内に「トイレに行きたくなった」と回答した人は約3割にのぼったという。ところが内閣府の調査では、東日本大震災後に「仮設トイレの設置に4日以上かかった」と答えた自治体が66%。中には1カ月以上要したケースもある。

「在宅避難でも事情は同じだ。断水時にトイレへ水を流すと、損傷した排水管から汚水が逆流し、下の階まで汚水があふれる事態を引き起こす。災害時に水を流すのは戸建・集合住宅ともに厳禁となるため、携帯トイレの備蓄が必要となるのです」(防災士)

携帯トイレは1人1日5個×7日分を目安に用意しておくことが肝要なのだ。

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