400万円のドローンvs6億4000万円の迎撃ミサイル…イランとウクライナで起きている「安全保障の新常識」

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現代の戦争が根底から変わりつつある。

イランとウクライナで繰り広げられる紛争を子細に見れば、「安価・大量・無人」という新たな戦闘の論理が浮かび上がる。世界最強と呼ばれた米軍の防衛システムでさえ、この非対称な戦い方の前に苦しんでいるのだ。

この「新常識」は、他人事ではない。対岸の戦場で何が起きているのか、日本の安全保障を考えるうえでも避けては通れない問題なのだ。

「400万円のドローン」が「6億4000万円のミサイル」を使わせる逆転の構図

イランが繰り出す自爆ドローン「シャヘド136」の製造コストは1機あたり2万〜5万ドル(約320万〜800万円)。これに対し、米軍が迎撃に用いるミサイルは1発あたり数百万ドル(約4億〜6億4000万円超)にのぼるとされる。

Forbes JAPANの分析では、この圧倒的なコスト格差がイランの低コスト・ドローン作戦を「対処の難しい脅威」に変えているとされる。

コスト格差は最大160倍

Bloombergの推計によれば、イランは2026年3月初旬までに2100機超のシャヘドを発射し、石油インフラを損壊させ、空港を閉鎖に追い込んだ。しかも飛行速度が遅く発見しやすいにもかかわらず、その「圧倒的な数」が米軍の迎撃ミサイル在庫を消耗させ続けているという。

「飽和攻撃」——大量のドローンで防衛網を食い破る戦術

この戦術の本質は「飽和」にある。弾道ミサイルを本命の攻撃とした場合、ドローンを数百機規模で同時に飛来させることで防空レーダーを混乱させ、本命のミサイルが防衛網を突破しやすくなる。

低コストのドローンと高コストの弾道ミサイルを組み合わせた「複合攻撃」は、ウクライナ戦争でロシアも多用してきた手法だ。

ロシアは2025年6月以降、ウクライナに対して週1000機規模のドローンを投入した記録もある(地経学研究所調査)。安価な偽ドローン(囮)と本物の自爆ドローンを混在させることで、ウクライナ防空部隊はどれを撃墜すべきかの判断を常に強いられ、精神的・資源的な消耗が続いた。

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