400万円のドローンvs6億4000万円の迎撃ミサイル…イランとウクライナで起きている「安全保障の新常識」

ウクライナの反撃——「117機」で「1兆円」を奪う逆転の一撃

消耗戦を強いられるウクライナも、同じ論理で反撃に出た。2025年6月の「クモの巣作戦」では、わずか117機の比較的安価なドローンで、ロシアの空軍基地に壊滅的打撃を与えた。

ウクライナ政府はロシアの長距離爆撃機41機が攻撃を受け、推計70億ドル(約1兆円)の損害を与えたと発表。CNNもこう分析している。

「比較的安価なドローン117機が数十機の航空機に攻撃を加え、推計1兆円の損害をもたらした。戦争の経済的な側面は変化した」

さらに皮肉なことに、米国は「シャヘドをコピーした低コスト無人機LUCAS」を開発・実戦投入した。世界最強を誇る軍事大国が、宿敵国の安価な兵器を"手本"にせざるを得なかったという事実が、この戦術変化の深刻さを物語る。

日本は「対岸の火事」ではない

こうした変化は日本にとっても無縁ではない。防衛省は2026年度予算で、小型ドローン大量調達のための費用として約1000億円を計上した。

だが、軍事専門家は「日本国内では特に攻撃型ドローンを中心に、軍事利用可能なドローンを生産する基盤が確立されていない」と指摘しており、北朝鮮がロシアからシャヘドの生産技術を取得すれば、日本へ到達可能な新たな攻撃能力を持つという懸念も現実味を帯びているという。

400万円の兵器が6億円超のミサイルに対抗し、安価なドローン100機余りが1兆円の損害を与える時代――戦場の「常識」は静かに、しかし確実に書き換えられている。

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