防災セットを"丸ごと買い"した人ほど危ない…被災経験者と専門家が証言する"本当に要らないもの"5選

【3】多機能手回しラジオ——「便利そう」が「使えない」に変わる現場の現実

停電時の情報収集手段として定番化している手回し充電式ラジオ。ソーラー充電やスマホ充電機能まで搭載した多機能モデルが人気を集めているが、実際に被災した人の評価はシビアだ。

豪雨被害で避難所生活を経験した30代男性がこう語る。

「手を回し続けるのが本当につらかった。疲れと不安でそれどころじゃない状況で、ハンドルを回す余裕なんてないんです。隣にいた人がシンプルな電池式ラジオでずっと情報を聴いていて、正直うらやましかった」

この点については、防災士も明確に警鐘を鳴らしている。

「手回し機能は緊急時の最終手段と考えるべきで、メイン機能として頼るのは禁物です。平時に充電した乾電池を複数ストックしておき、シンプルな電池式ラジオを使う方が圧倒的に実用的。ラジオ自体は情報収集に非常に有効なツールですが、"手回し"への過信が問題を生んでいます」(防災士資格保有者)

【4】救助用ロープ・多機能ナイフ——訓練なき"道具"は凶器になる

「2階からの脱出」や「瓦礫除去」を想定して防災セットに組み込まれることの多いロープや多機能ナイフ。だが専門家の見解は一致している。「素人が被災の混乱下で使おうとすれば、二次災害を引き起こす可能性が高い」というのだ。

地震発生直後に自宅から避難した40代男性が語る。

「倒れた家具を避けながら走って逃げたので、ロープを使う場面は一切ありませんでした。重いし邪魔だし、持ってきたことを後悔しました」

広島県の防災情報サイト『ひろしまラボ』でも、「ロープはロープワークの知識と技術を持った人が使って初めて機能する」と明記している。知識と反復訓練なしに本番で使えるものではない、ということだ。

多機能ナイフも同様で、「使う状況がほぼ来ないうえに、刃物の取り扱いには慎重さが求められる。優先順位は低い」(防災アドバイザー)という見方が主流なのだ。