【國澤一誠のゾッとする実話怪談】第五夜繁華街の闇に消えた「一番の執着」――《スカウト》

國澤一誠(C)週刊実話Web

これは、とある男性が実際に体験した、逃れられない未練のお話です。

体験者さんは数年前まで、眠らぬ繁華街の片隅で、夜の店へ女性を案内する「スカウト」の仕事をしていました。

ネオンが明滅する中、毎日同じ場所に立ち続け、店を支えてくれそうな女性を探して声をかける。

「お店で働きませんか?」

そんな使い古された言葉を繰り返す日々でしたが、思うように成果は上がらず、彼は焦燥感に苛まれていました。

闇から這い出す「私、働きたいです」

そんなある夜のことです。いつもの立ち位置で獲物を探していると、背後からスッと、冷たい気配と共に声をかけられました。

「すみません……」

振り返った瞬間、彼は思わず言葉を飲み込みました。

そこにいたのは、腰まで届くような真っ黒なロングヘアーを、前髪と共にダラーンと長く垂らした女性でした。服はどこで汚れたのか、薄汚れて小汚く、繁華街の華やかさから完全に浮き上がっています。

彼女は力なく、まるですり鉢で削られたような、か細い声でこう言ったのです。

【私、働きたいです】

スカウトとしての直感でした。申し訳ないのですが、そのあまりにも生気のない姿を見ると、到底華やかな夜の仕事が務まりそうにはありません。

「ごめんなさいね、他を当たってくれるかな……」

彼はそう告げて、彼女を拒絶しました。

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