【國澤一誠のゾッとする実話怪談】第五夜繁華街の闇に消えた「一番の執着」――《スカウト》

繰り返される志願、そして同僚の震える告白

繁華街で突然か細い声が…

しかし、恐怖は翌日から始まりました。

また背後から「私も働きたいです」という、あの消え入りそうな声が聞こえてくるのです。振り返れば、昨夜と全く同じ黒髪、同じ汚れた服、同じ絶望的な格好をした彼女が立っていました。

「ごめんね、無理なんだ」

いくら断っても、その日から彼女は、彼が立つ場所から少し離れた位置にずーっと居座るようになりました。同じ場所で、同じ格好のまま、こちらをジーッと見てくるのです。

その異様な姿と執拗な視線に、彼は言いようのない気味悪さを覚え、近くにいた同僚に助けを求めました。

「あの人、やばくない? この前からずっとあそこに立って、こっちを見てるんだけど……」

すると、事情を知る同僚は、顔をこわばらせてこう返したのです。

「お前にも見えてるんや……あれ……。もうすでに死んでる子やから」

あまりにもハッキリと姿が見えるため、最初は聞き間違いか冗談だと思いました。しかし、その同僚は決してそんな嘘をつくタイプではありません。改めて、数メートル先に立つ彼女を凝視しました。

すると、確かに普通の人間とは決定的に何かが違う、説明のつかない「違和感」が、彼の全身にまとわりついて離れなくなったのです。

転落の果て、ホスト遊びに溶けた人生

その後、同僚が重い口を開き、彼女の悲しい素性を教えてくれました。

彼女はもともと、この繁華街の夜の店に勤めていたキャストだったそうです。ナンバーワンやナンバーツーといったトップ層ではなかったものの、その愛嬌からか、かなり店では人気のある子でした。

転落のきっかけは、友人に誘われて足を踏み入れたホストクラブでした。

甘い言葉にハマり、次第に店を休みがちになり、生活のすべてがホスト中心に回るようになります。

借金は雪だるま式に膨らみ、やがて利用価値がなくなると、ホストからも冷酷に関係を切られてしまいました。その瞬間、彼女の精神は音を立てて壊れてしまったのです。