五木ひろし『千曲川』が示す“最優秀歌唱賞の本質”と1975年の音楽観【スージー鈴木の週刊歌謡実話第32回】

五木ひろし『千曲川』

【スージー鈴木の週刊歌謡実話第32回】
五木ひろし『千曲川』
作詞:山口洋子
作曲:猪俣公章
編曲:森岡賢一郎 
1975年5月25日発売

50歳を過ぎてから刺さった理由

突然ですが、4月25日、スージー鈴木25冊目の著作が発売されました。ご期待くださいませ。

新刊タイトルは『日本の新しい音楽1975~』(日刊現代)。今回も、ちょっと大きく出てみました。大きく売れるといいなぁ。

浜田省吾、山下達郎、中島みゆきがデビュー、そして矢沢永吉がキャロルを解散してソロデビューしたʼ75年を「ニューミュージックが生まれた年」と位置付け、この年にリリースされた、さまざまな音楽を論評するという本です。ぜひご一読くださいませ。

というわけで今週は、本の中で取り上げたʼ75年の作品から。それも、たまには演歌方面から1曲ということで、五木ひろし『千曲川』を取り上げます。

この年の日本レコード大賞・最優秀歌唱賞に輝いた曲です。リアルタイムでも記憶はあるのですが、でも私は岩崎宏美に夢中だった小学3年生、さすがにこの曲のよさを分かるには、若過ぎました。

それが50を超えた頃でしょうか、この曲の良さが突然分かり始めたのです。

演歌の枠に囚われない、雄大な歌詞。シンプルだけど実に美しい三拍子のメロディー。そして何といっても、五木ひろしの爆発的な歌唱力。「最優秀歌唱賞」にふさわしい名唱だと断言できます。

特に1番で言えば「♪忘れな草」の「れ」のところで音程がグッと上がるところの歌い方がたまりません。あのニュアンスは五木ひろしならではのものと言えましょう。

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